文法を捨て去る

 さて、話が長くなりましたが、4つ目のアドバイスは、やはり文法への妄信を捨て去ることです。この点については、このシリーズの中で何回かに分けて実例を挙げてきましたが、文法解説には不要なものが大変多くあります。今回もう一例、簡単な例を挙げると、それは「自動詞と他動詞の区別」です。もちろん、この辺りはもう完全にマスターできているという人には不要な話ですが、それでもどうでしょうか。あなたはスピーキングやライティングにおいて正確に使い分けができるでしょうか。つい「分析・分類脳」が働いて、余計なエネルギーを使っていませんか。

次の例を見てください。同じような意味なのに、下の動詞では前置詞がありませんね。

・talk   about a problem
・discuss ● a problem

 「自動詞・他動詞」というのはたったこれだけのことです。つまり、前置詞が必要な動詞とそうでない動詞があるというだけのことなのです。大切なのは、「どれが他動詞だ?」「これは他動詞か?」といった発問ではなく、「なるほどこの動詞がこの意味で使われるときには、このような前置詞が必要なわけだ(or不要なわけだ)」と素直に理解して、あとは徹底的にその組み合わせを音読して頭に染み込ませることです。そのようにすると、①分類に頭を悩まさなくて良くなりますし、②会話でも文章でも正確に使えるようになります。

 discussなどは、いくら「他動詞だ」と頭で分かっていても、話すときについaboutを付けてしまう人がたくさんいるはずです。これが、理屈と実践の間のギャップです。関係者の間には、まず文法を理解してから練習をすれば良いという考え方もありますが、私はそれを全面的には否定はしないものの、文法項目のほとんどは「意味と形」をおさえ、あとは慣熟訓練をすればそれでオシマイであると考えています(※)。

(※)文法解説が「完全に不要である」とは考えていません。ただ、「極小限で済む」とは思っていますし、実践の場でそれを証明してきました。

 もちろん、文法が好きな人・興味がある人にはどんどんと文法を研究してもらって欲しいと思いますが、大多数の人は(このICT+人工知能の時代においても)文法で苦労しています。英語嫌いになる人もたくさんいます。繰り返しになりますが、文法(文の規則性)はそのほとんどが「形と意味」に注目することで、詳細な解説なしに理解できます。

 今年、新たに英語にチャレンジする人、やり直しにチャレンジする人には、ぜひ上記のような点に配慮し、無理無駄のない学習をしていただきたいと思います。中学1年生の教科書の1ページ目に「I’m excited!」という英文が載っているーーそれが、今私たちが生きているこの時代の英語教育の姿なのです。

 英語に関する限り、私たちの能力は30%程度しか引き出されていません。これはとても残念なことです。このコラムでは、どうすれば残りの70%の能力を発揮できるかについて、日本語を活用するという手法を中心にさまざまな観点からお話ししていきます。

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