私自身は、実は「英語オンリー」が“絶対に不可能である”とは思っていません。もしかすると、精密かつ巧妙に設計されたシステム的な教材を使うと可能かもしれないと考えています。しかし、これまで数十冊のESL(English as Second Language)の教材を見てきましたが、日本国内でどれだけ効果を上げることができるかという点では疑問が残りました。そもそもが、「国内で」という点に、大きな制約があるのですが……。

英語の基盤作成には日本語活用

 Phillip Kerr氏の論を待つまでも無く、母語が、外国語よりも深く広く習得されていることは120%間違いありませんので、これをうまく活用して語彙を増やし、文法をシンプルに学ぶようにすると、英語の学習効率は数倍違ってきます。ある程度のレベルになっても、訓練として英文を音読などするときには、必ずまずその和訳に目を通し、脳を起動した状態にしておいてからトレーニングすることが大切です。

 そのぐらい母語を活用しないと、音読やシャドーイング、さらにディクテーションという、かなり集中力のいる、深い訓練を行っていても、頭は「うわの空」の状態になりがちで、学習効果は上がりません。

 また、母語と英語を結びつけておくと、その巨大な情報のネットワークが活用できるようになりますので、例えば英語で話していて、語彙や表現がタイムリーに思い出せなくても、バックグランドで母語のネットワークが起動して「別の表現」を見つけ、引き出してくれ、そのギャップを埋めることができます。

 しっかりとした母語を基盤として持つことは、色々な意味で非常に大切なことです。英語はあくまでも外国語に過ぎず、それも、今日では多様な英語が普通にコミュニケーションで使われていますので、「話す」については、取りあえずまず「通じればそれで良い」という発想が大切です。ここを取り違えると、日本語を失い、英語も中途半端という、最悪の状態になることも有り得ます。

 日本語を活用すると、無理なく、確実に、強力な英語の基盤を作ることができます。「aggravate」や「ramification」という言葉を見ても、何の問題もなく意味が分かる――このレベルの語彙があると、よほど専門的な分野でない限り、どんな英語でも読んだり聞き取ったりできます。もちろん、TOEIC程度であれば、知らない語句はほぼゼロになり、あとは「慣れ」を養うだけで800点台に無理なく到達できます。

 でも、「そんなあなた」を作るのは意外と簡単です。なぜなら、例えば上の2つの言葉を取り上げても、「意味」については母語を通じて「すでに知っている」からです。ですから、あとは「音」、そして「形」(つづり)を覚えればそれでオシマイということになるのです。

 take in、set out、go for、turn off、spin outなどのイディオムもすべて同じ。あまり、理屈臭く考えずに、素直に「形」と「意味」を結びつけてしまえば良いのです。「用法」などというのは、後から身についてきます。また、そういった実践的な角度から英語にアプローチしないと、いつまでも「動名詞と不定詞の使い分け」などに頭を悩ませることになります。

 あなたには、「すでに」高度な知識と言語能力が備わっています。それを無駄にしないで下さい。日本語をうまく活用して、一気に英語力を高めて下さい。

 英語に関する限り、私たちの能力は30%程度しか引き出されていません。これはとても残念なことです。このコラムでは、どうすれば残りの70%の能力を発揮できるかについて、日本語を活用するという手法を中心にさまざまな観点からお話ししていきます。

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