高校の文法は中学英語でカバーできる
さて、次は文法です。
私たちの頭の中では、「文法=やっかい」という方程式があると思いますが、ここが驚くべきところで、中学英語で高校文法は完全にカバーできます。
「そんなはずはない。絶対にない」――今そう思われた方も多いと思います。なぜなら、(私の見てきた限りですが)中学で文法を習い始める時、つまり、所有代名詞や三人称単数でジャブを受けた時にフラつき、不定詞の3用法、5文型の分類でノックアウトされる人が多いからです。
流石に今では少なくなっているようですが、「I (主格)、my(所有格)、me(目的格)、mine(所有代名詞)」などの人称代名詞の説明や、「The speed of light is fast.(SVC)」、「Light travels fast.(SV)」、「What are there on the table?(SV)」などの分類が中学生にとっては難しいものです。ましてや、高校文法となると中学英語などでカバーできるハズがないと考えるのが普通です。
確かに、高校の文法書は厚く、たいていが300ページ以上あって、中を見ると自動詞・他動詞から始まって、分詞構文、限定用法、関係代名詞の継続用法、仮定法など、文法用語が目白押しになっています。私などは、お目出たくもこのすべてにひっかかりましたので、全くもって笑えないです。
そもそも、同じing形に数種類の文法分類があって、しかも、それが被っているのはなぜなのだろう? 「目的語」って、じつは文章に必須の言葉で、「補語」なのでは? でも、文法が非論理的なはずがない。文法書にも「文法が分かると英語が分かる」(=文法が分からないと英語は分からない)と書いてある。そうだ、ルールが分からずにルールが使えるはずがない。でも……。
そんなことを考えていて、勉強が進むわけもなく、ほどなく成績不振となったのでした(※)。
話を戻しますと、今あげた文法項目、またそれ以外の文法項目も、ほぼすべて「中学英語」で理解できます。
ing形やSVOCなどについてはすでに解説しました。また、仮定法についても、映画「アルマゲドン」の歌詞を使って核心部分を説明しました。
仮定法というと、「事実と反対」「事実に反する」という言葉が頭の中に浮かんだ人がいるかも知れませんが、その切り口から入ると、英文法の本質がかえって分かり辛くなります。この点については、実社会に出て、本物の英語に触れるようになって初めて気づいた(そして、唖然とした)方も多いのではないでしょうか。私も「これはいったいどういう事なのだろう?」と、頭を捻ったものです。
いずれにしても、仮定法の基本から一歩進めて、例えば「could」 に「have+pp形」をくっつけると「時間のズレ」を表すことができます。例えば、「Without your help, I could have failed again.」についても、「君の助けが無ければ、また失敗していたかも知れません」という意味だという事が分かります(※)。
(※)詳しくは、拙著『英語がスラスラ分かるようになる魔法の本』(日本実業出版社)をご参考になって下さい。仮定法については、私の論文が関西英語教育学会の学会誌に掲載されています。
要は、高校文法といっても、「中学英語でどう理解するか」ということに過ぎないのです。簡単に分かることをわざわざ難しく解説しているのが「高校文法」――そういう見方もできるかもしれません。文法にも色々な種類がありますので、色々な解説方法があって良いとは思いますが……。
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