映画・ドラマの魅力はなんといっても、私たちを「引き込む力」です。これは、「集中させる力」といっても良いでしょう。ここは本当に良く理解しておかないといけない点で、いくら英語を聴いても、シャドーイングをしても、さらには音読しても、頭が「うわの空」であると学習効果はほとんどありません。

 その点、映画・ドラマは、ストーリー展開、シーン、セルフ、音楽など、すべてが視聴者を「魅了する」の1点に絞られて作られています。ですから、自分との相性が良いと、1回観ただけでかなり細部まで(覚えようとしなくても)覚えてしまいますし、何度も観たくなります。これは、とても大きな利点です。

 前回に続いて、映画・ドラマを英語学習に活用する手順について続けます。

映画・ドラマを活用する手順③ 画面を見ずに聞く

 セリフの少ない作品ではやりにくいですが、画面を見ずにセリフだけを聞くと、意外に効果的なリスニング練習になることがあります。その理由は、単純にいって、五感の中でも視覚の情報は圧倒的に多いため、画面を見ないことで、それだけ音声に集中できるからです。

映画やドラマを活用する手順④ 気になるセリフを覚える

 何度でも観たい映画・ドラマが見つかれば、気になるセリフを英語字幕で確認したり、台本(スクリプト)にマークしたりして、シーンを思い浮かべながら何度も声に出して覚えてしまって下さい。その際、その役者に成り切ることができればパーフェクトです。

 日本の英語教育ではこのような「覚える学習」を「暗記・暗唱は応用につながらない」と考えて、避ける傾向が強いですが、これは大きな思い違いです。

 留学などで完全に英語の環境の中にいる場合には、英語を使って普通に生活しさえすれば、(嫌でも)様々な語彙や表現を覚えてしまうわけですが、国内の日本語環境の中ではそう簡単にはいきません。特に会話に関しては、何度も聞き、何度も繰り返し口に出して覚えてしまう方が、一見、遠回りなようで、結局はもっとも手っ取り早く効果的です。

 映画・ドラマの場合には、たとえ画面を見ていなくても、台本(スクリプト)を見ているだけでそのシーンを思い出すことができますので、いつでもどこでもリアルに集中した練習ができます。これは、学習条件としてはパーフェクトと言えます。

 もちろん、「覚えるセリフ」は「覚えたいセリフ」だけで十分です。“映画のセリフテスト”などというものはありませんので、思いっ切り「わがまま」に勉強して下さい。不思議なもので、テストなどお構いなしに徹底的にわがままを通すと、かえって英語は身に付きやすくなります。

 これは、「心の鍵」のようなものが取れて、素直に英語を受け取り、吸収することができるようになるからです。普段意識することは少ないですが、私たちは英語に対してどこか身構え、緊張しがちです。しかし、このように、気持ちの上で英語を「寄せ付けにくい状態」ですと、身に付くものもなかなか身に付きません。

映画やドラマを活用する手順⑤ 実用性の高い表現を切り出して覚える

 どうせなら「好きなセリフ」以外にも、「すぐに使えそうな表現」も覚えてしまいましょう。映画やドラマの最大の弱点の一つは、「すぐにでも使える表現」、たとえば、「I’ll call you back.」(後で電話するよ)、「I can’t get this software to work.」(このソフトを動かせない)、「Could you be more specific?」(もう少し具体的に話してもらえますか?)、などといった実用性の高い表現が、都合よく並んで出てくることがまず無いということです。

 そこで、少々面倒ですが、好きなセリフ以外に、すぐに使えそうな表現をスクリプトにマークする、あるいはメモに残して覚えるようにします。それらの表現はワクワクするような表現ではないかも知れません。しかし、「実用的な表現なんだ」という点が自分の中ではっきりしていると、「映画でこれを覚えられるなんて、なんてラッキーなんだ」と思えるはずです。