前回は、「翻訳本」を使ってMBA(経営学修士)を取得した3人についてお話ししました。私たちは、なんとなく英文は真正面から英語で読んでいくものだと思いがちですが、日本語を活用すると全く違った効果を引き出すことができます。同じようなことは日本語の本、つまり、和書を読む場合にも当てはまり、概要を知ってから読むのと、知らないまま読むのとでは読書スピードが大きく変わってきます。たとえるなら、これは、どこか知らない土地を歩くときに、簡単であっても地図があると方向感覚が生まれ、速く的確に目的地にたどり着くことができるのと同じです。

英語教育4つの弱点

 さて、この点を含めこれまでの英語教育には大きな弱点が4つあります。それは、①音読練習がほとんど無い(=英語が自信を持って読めない)、②複雑な文法、③「英語で英語を」という考え方、④問題を解かないと英語力はつかないという考え方――の4つです。

 まず①については、言葉はどんなものでも同じで、自信を持って読み上げることができないと効果的に身に付きません。ところが、日本の英語教育ではこの、もっとも重要な点についてトレーニングしません。テストに出ないからです。

 ②についても、このコラムの中で5文型が特には必要ないという点を、例をあげてお話ししました。私が提唱する「受信文法」というのは、上で述べた地図のような役割をする文法で、解説はとてもシンプルです。文法がシンプルになると、心が軽くなり、やる気が出ます。

 ③については、MBAレベルの英語でなくても同じことが当てはまり、日本語で頭を活性化しておくと、読めないものが読め、さらに速く読めないものが速く読めるようになります。日本語をうまく活用するのは、国内で英語を効果的にマスターするためにとても大切な点です。

 さて、④についてはどうでしょうか。「問題を解いて英語力をつける」というのは当たり前のことのように思えます。しかし、ここにも落とし穴があります。国内の受験関係の演習問題・テスト類の場合、「問題を解く=英語力がつく」ということにはなりません。どちらかというと無用な苦労をして遠回りすることになります。使える英語となるとさらに敷居は高くなります。なぜかというと、受験英語では大抵の場合、テストとトレーニングが区別されていないからです。そのため、「テストに出るから・・」という理由で、テスト問題をそのままトレーニングに使う傾向が強くあります。

 例えば、態の変換や話法の変換など、英語を身に付ける上で何の意味もなく、むしろマイナスにしかならない演習がいまだに行われているのも、このような問題が過去にテストに出題された経緯があるからです。さすがに今では稀なのですが、すでに演習用の問題として定着してしまっているために、いまだに文法書でもかなりのページを割いて解説されています。

 テストとトレーニングは全く異なるものです。テストはあくまでもトレーニングによって身に付けた力を「測定する」ツールで、トレーニングは英語力そのものを「養う」ツールです。目的が違うのですから、当然、使用すべき問題形式も異なってきます。