「お客様第一主義」「顧客目線」など、顧客のニーズや感覚を大切にする趣旨の言葉を多くの企業が経営の目標に掲げている。だが、そうした企業はビジネスの結果を左右する顧客の心を見ているのだろうか? 顧客行動の結果でしかない売り上げや利益など財務諸表しか見えていないのでは——。そう問いかける西口一希氏は、P&Gで「パンパース」や「パンテーン」などのブランドを手掛けた後、ロート製薬やロクシタンジャポン、スマートニュースの事業を成長させてきた。さらに、その経験を生かしてM-Forceを共同創業し、多くの企業を支援している。西口氏による本連載では、マーケットを構成する顧客の全体の姿を可視化・定量化し、動態で捉えて事業成長に直結させる「顧客起点の経営」をひもといていく。

今回は前回に引き続き、デジタルトランスフォーメーション(DX)の本質に注目する。事例として、米Netflixがいかに変革したかを解説する。

(写真:Shutterstock)
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Netflixは、D1、D2を経てD3へ向かっている

 2010年、米大手ビデオ・DVDレンタルチェーンのブロックバスターが倒産しました。一時は世界中で6万人以上の従業員を抱えるほどの事業規模を誇っていた企業が淘汰されたのは、Netflixの躍進が大きく影響しています。

 もちろん、Huluなどを含めたいわゆるインターネット動画サービスの台頭が原因だとされていますが、Netflixはいきなりインターネットで動画を配信したのではなく、まずDVDを借りる仕組みをオンライン上でつくっていました。以下の図における第2段階、「事業DX」のステップを踏んでいたのです。これによって、店舗に縛られることなく、あらゆるジャンルのDVDを用意することができました。だから流行したのです。つまり、一部をDXしたことで、人気が出たと読み解けます。

 数年前から、“DX”はいわば流行語のようにもなり、自社がどのように変革すべきかの議論がないままにデジタル活用の手法論に陥っているケースが多く見られます。常に、「どのようにDXを進めていくのか」という議論が先にあるべきです。

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米Netflixの株価推移
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コンテンツ力が評価され、人気を集めたことで株価も大幅に上昇。2021年10月8日現在で632.22ドルとなっている。
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続きを読む 2/5 業務DX――顧客管理や在庫管理をネット上で

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この記事はシリーズ「「顧客起点の経営改革」~経営に「顧客」を取り戻せ」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。