ノーベル賞を受賞した学者など“世界の頭脳”の理論を、その要諦を熟知する専門家による解説で学ぶシリーズ。今回は特別企画として、気鋭の人気経営学者と経済学者によるトークセッションをお送りする。

 世界の超一流の経済学者、経営学者17人へのインタビューをまとめた書籍『世界最高峰の経営教室』(日経BP)を題材に、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授と、大阪大学大学院経済学研究科の安田洋祐准教授が、巨匠たちの教えを分かりやすく解説する。

 第5回はウェビナー終盤に視聴者との間で繰り広げられた質疑応答をテキストで配信する。アフターコロナに重要な経済・経営理論は何か。世界の超一流の経済学者・経営学者たちは日本をどう見ているか。

※本シリーズは、2020年12月7日にライブ配信したウェビナーを再編集したものです。詳細はこちら

(ウェビナーのノーカット映像は第1回でご覧いただけます)

入山章栄・早稲田大学ビジネススクール教授(以下、入山氏):視聴者の方からたくさん質問を受けています。ここからは質疑応答コーナーとして、どんどん答えていきましょう。

今回、『世界最高峰の経営教室』で経営学の最先端を大変興味深く拝読しました。ただ常に新しい研究者や学説が登場し、最先端は変わっていくのでそれにどう追いついて知識をアップデートしていくかが悩ましいところです。先生方が常にウオッチしている媒体や、一般人でも理解できるようなお薦めの情報源があればぜひ伺いたいです。

入山氏:さっき安田くんが言っていたように、学者側がマーケティング下手で、なかなか一般の方に伝わっていないという現状があると。では一般の方はどういうものをチェックすればいいのかという質問ですね。安田くん、何かお薦めはありますか。

安田洋祐・大阪大学経済学部准教授(以下、安田氏):興味を持った専門家や研究者のSNS(交流サイト)をフォローするだけでも、定期的に論文の話題などが流れてくると思います。お金をかけずに情報を入手する方法としてSNSはありじゃないでしょうか。

入山氏:なるほど、確かに一般の方は学者のツイッターをフォローするのっていいかもね!。

安田氏:特に日本人の学者って、良くも悪くもお金に興味がなくて、全くお金にならないけれど、趣味的に時間を割いて熱心につぶやいている人が多いです。そういう人を何人か見つけてフォローしていると、情報が入ってくると思います。これ、「僕をフォローして」っていうことなんですけど(笑)。

入山氏:なるほど(笑)。僕も経済学コミュニティーの方たちとツイッターでつながっていますけれど、優秀な経済学者の方たち、バンバン、ツイートしていますよね。フォローすると新しい知見がガシガシ入ってきます。

安田氏:英語で先端研究について紹介していたり、ちょっと批判的なことをポロッとつぶやいたり。すごく参考になります。あと経営学誌として定評のある「ハーバードビジネスレビュー」には経営学だけでなく経済学の話が出てくることもあります。「日経ビジネス」のようなビジネス系の週刊誌をウオッチするのもいいと思います。自分の好みやスタイルに合うものをフォローし続けていくのがいいのではないでしょうか。

入山氏:広野さんはどうですか。

広野:私が情報源に使っているのは大学やビジネススクールが出している無料のメールマガジンですね。案外、面白いのです。米ペンシルベニア大学ウォートンスクールのメルマガはもう10年ぐらい取っています。ポッドキャストなどもやっていますね。また、メルマガではないですが、時々、米ハーバード・ビジネス・スクールなど各ビジネススクールのサイトも見ています。あとは、やはり国内外の経済学者のツイッターですね。

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