<span class="fontBold">「日経ビジネスLIVE」とは</span>:「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト
「日経ビジネスLIVE」とは:「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

 アフターコロナ時代に求められる人づくりとは……。2020年11月16日と11月30日に開催したウェビナーシリーズ「日経ビジネスLIVE あの経営者が語る 人づくりとコロナからの再興」をアーカイブ配信する。

 第3回は星野リゾートの星野佳路代表と森トラストの伊達美和子社長による対談をお届けする。新型コロナウイルスの感染拡大で甚大な被害を受けている観光業界が2021年に復活するためには何が必要か。そのシナリオについて語り合った。対談の全体を収録した動画も掲載している(2ページ目、有料会員限定)。

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編集部注:記事中の発言は、本対談を開催した11月30日時点の状況を踏まえたものです

中沢康彦・日経ビジネス副編集長(以下、中沢):本日のテーマは「観光立国復活へのシナリオ」です。星野リゾートは温泉旅館、リゾートなど色々なタイプの施設を運営しています。森トラストはオフィス事業の印象が強いかもしれませんが、全国でホテルのプロジェクトを推進しており、お二人には宿泊業に取り組んでいるという共通点があります。まずはコロナ禍の観光、ホテル業界は現在、どんな状況にあるのか。収益悪化を避けるためにどんな手を打ってきたのかをお話しいただけますか。

観光立国、どう復活させるか

星野佳路・星野リゾート代表(以下、星野氏):(2020年の)4月、5月は大変でしたね。(2011年の)東日本大震災のときは原発事故がありましたが、あれ以来の大変さです。売り上げが全国で90%減になったので、そこから対応法をいろいろと考えました。

<span class="fontBold">星野佳路(ほしの・よしはる)氏<br> 	星野リゾート代表</span><br> 1983年、慶應義塾大学経済学部卒業。米コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了。91年星野温泉社長就任。所有と運営を分離する運営特化戦略により運営サービスを提供するビジネスモデルへ転換。2001~04年に山梨県のリゾナーレ、福島県のアルツ磐梯、北海道トマムリゾートの再建に取り組む一方、星野温泉旅館を改築し、05年「星のや軽井沢」を開業。現在の運営拠点はラグジュアリーブランド「星のや」、温泉旅館「界」、リゾートホテル「リゾナーレ」、都市観光ホテル「OMO(おも)」、ルーズに過ごすホテル「BEB(ベブ)」の5ブランドを中心に国内外45カ所。20年に星野リゾートは創業106周年を迎え「星野リゾート BEB5土浦(茨城県土浦市)」や「星のや沖縄」など5施設を開業。
星野佳路(ほしの・よしはる)氏
星野リゾート代表

1983年、慶應義塾大学経済学部卒業。米コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了。91年星野温泉社長就任。所有と運営を分離する運営特化戦略により運営サービスを提供するビジネスモデルへ転換。2001~04年に山梨県のリゾナーレ、福島県のアルツ磐梯、北海道トマムリゾートの再建に取り組む一方、星野温泉旅館を改築し、05年「星のや軽井沢」を開業。現在の運営拠点はラグジュアリーブランド「星のや」、温泉旅館「界」、リゾートホテル「リゾナーレ」、都市観光ホテル「OMO(おも)」、ルーズに過ごすホテル「BEB(ベブ)」の5ブランドを中心に国内外45カ所。20年に星野リゾートは創業106周年を迎え「星野リゾート BEB5土浦(茨城県土浦市)」や「星のや沖縄」など5施設を開業。

 9割減からの回復に向けて、まずはマイクロツーリズムに特化しました。コストコントロールは雇用調整助成金をフル活用して、毎日のシフトを最適化。休業手当を100%出して、それを雇用調整助成金で補填いただくようにしました。

 実際のところ(2020年の)夏は予想していた以上に需要が戻りました。9月以降はGo To(トラベルの利用者)も乗っかってきたので、7月、8月、9月、10月、そして11月の中旬までは、予想以上の売り上げを確保できました。

中沢:伊達さん、いかがですか。

伊達美和子・森トラスト社長(以下、伊達氏):当社は、(不動産などの)開発事業をしているので(年度末である)3月末までに建物が竣工しない(という事態を避ける)ことが一番の問題でした。そして年度末を越えて4月になってもコロナ禍は、収束の兆しが見えなかったため、次の問題として(新しい)オペレーションを考え始めました。

<span class="fontBold">伊達美和子(だて・みわこ)氏<br> 	森トラスト社長、森トラスト・ホテルズ&リゾーツ社長</span><br> 聖心女子大学文学部卒業。慶應義塾大学大学院修了。総合コンサルティング会社勤務を経て、1998年森トラスト入社。2011年には森トラスト・ホテルズ&リゾーツ社長に就任。2016年6月から森トラスト社長を務める。全国でホテルプロジェクトを推進し、2020年は沖縄、奈良、東京において日本初進出のラグジュアリーホテルブランドを含む3軒のホテルが開業を迎えた。都心の大型複合施設開発では、虎ノ門「神谷町」エリアにおける大規模プロジェクト「東京ワールドゲート」が2020年3月に竣工、さらに赤坂ツインタワー跡地における「赤坂二丁目プロジェクト」といった大型都市開発も手掛けている。
伊達美和子(だて・みわこ)氏
森トラスト社長、森トラスト・ホテルズ&リゾーツ社長

聖心女子大学文学部卒業。慶應義塾大学大学院修了。総合コンサルティング会社勤務を経て、1998年森トラスト入社。2011年には森トラスト・ホテルズ&リゾーツ社長に就任。2016年6月から森トラスト社長を務める。全国でホテルプロジェクトを推進し、2020年は沖縄、奈良、東京において日本初進出のラグジュアリーホテルブランドを含む3軒のホテルが開業を迎えた。都心の大型複合施設開発では、虎ノ門「神谷町」エリアにおける大規模プロジェクト「東京ワールドゲート」が2020年3月に竣工、さらに赤坂ツインタワー跡地における「赤坂二丁目プロジェクト」といった大型都市開発も手掛けている。

 まずは、リスクを「見えているリスク」の範囲内に納めるように努めました。そこで緊急事態宣言が発令される前に、リゾートの事業所はクローズ(休業)しました。そして、低い稼働率でも(施設を)運営できる体制を徹底的に考えたのです。そうこうするうちに、緊急事態宣言が解除される見通しが出てきたのですが、消費者心理がネガティブになっている中で、どうやって旅行の需要を呼び戻すのか。それを考えました。

 今はまだ(コロナ禍という)嵐の中にいるわけですが、必ずいつかは止むし、その先にある光を見失ってはいけない。そこに向かってひたすらこいでいこうと考えているところです。

Go Toの補助率、繁忙期は下げてもいい

中沢:今は新型コロナの第3波が来ていますが、政府や自治体にどのようなことを望みますか。

星野氏:Go Toトラベルについて私は(2020年の)春から言っていますが、需要喚起策としてはありがたい。ただ、ゴールデンウイークやお盆、土曜日といった繁忙日の補助(率)は、下げてもいいんじゃないかと思います。

 (宿泊代の)補助率が35%、これに15%の地域共通クーポン券が付くと、旅行の需要を喚起しすぎるぐらいのサポートになっています。税金を使った経済対策ですから、もう少し(補助率は)下げてもいいのではないですか。

伊達氏:政府が雇用調整助成金やGo To(トラベル)キャンペーンのような観光支援策を早い時点で打ち出したのは、とても意義があったと思います。先行きに不安を感じていた事業者が頑張ろうと思えただろうし、倒産を回避できたケースもあったと思います。

 一方で気になるのは、例えば新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」の導入・利用を義務化してもよいのではということです。(宿泊代の補助などの)インセンティブをもらう旅行に参加するのなら、接触確認アプリは必ずダウンロードして、濃厚接触者じゃないと証明すべきだし、クーポンも電子クーポンでよいと思います。

ワーケーションで稼働率が平準化

中沢:新型コロナを契機に社会の構造が変化していると言われますね。

伊達氏:観光業においては、若い人が動き始めたことが大きいです。一時は旅行をするのはシルバー世代が中心でしたが、ここ数年、(若者を意識した)投資がなされて魅力的な空間(や施設)がたくさんできました。

 もう一つはワーケーションです。夏場だけでなく、秋冬の予約も伸びています。これにはニューノーマルのライフスタイルの中で生まれたワーケーションが寄与しており、旅行業界、リゾート業界の課題だった稼働率の平準化にも、すごく貢献してくれています。この2つはポジティブな変化ですね。

星野氏:日本の観光事業の(売り上げの)大部分は日本人による日本国内の観光です。国が設定しているインバウンド客数の目標である6000万人を達成しても、若者の旅行が増えないとマーケット自体は縮小しかねません。でもコロナ後について、私は意外に元に戻るんじゃないかと思っています。

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