Lesson6のテーマは「マネジメントの経済学」。世間から見れば、経済学と経営学の何が違うのかよく分からないことが多い。その理由の一つは、経済学の中の一分野に「組織の経済学」があるためかもしれない。
ミクロ経済学の中で、企業や人の活動を研究対象にし得る領域には、産業組織論、行動経済学、実験経済学、ゲーム理論、契約理論、ファイナンス理論、意思決定理論などがある。これらが相互に混じり合い、企業の活動を様々な角度から分析していく一大分野を形成しており、「組織の経済学」とも呼ばれる。Lesson1のマーケットデザインは「市場の仕組み」を構築しようとする理論だが、組織の経済学はずばり、企業活動の法則性や再現性を解明することが目的だ。その意味でイノベーションもまた、経済学の研究分野の1つである。
本シリーズでは、組織の論理や企業の活動、意思決定などについてつまびらかにしようと試みる経済学の論考を集めた。
新しい経済の教科書Lesson6 マネジメントの経済学

13回
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#1
社内の理不尽な「取引」も、経済学で説明できる!
経済学の新しい分野に「組織の経済学」がある。80年代から発展し、企業の内部を経済学で分析するものだ。伊藤秀史一橋大学大学院商学研究科教授に、その成り立ちや面白さなどについて詳しく聞いた。
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#2
サバイバルの条件は、創造的「自己」破壊だ
旧世代の勝者が往々にして新しい技術に対応しきれないのはなぜか。同種の疑問を抱いた研究者は多く、有名どころでも過去100年間で3人挙げることができる。クリステンセン、アロー、そしてシュンペータ…
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#3
フィスマン教授に聞く「無駄な会議、無駄な管理職」が合理的な理由
「組織の経済学」は、組織における「妥協」や意思決定、組織づくりなどを研究する分野だ。『意外と会社は合理的』(日本経済新聞出版)などの著書があるレイモンド・フィスマン米コロンビア大学経営大学院…
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#4
自殺大国ニッポン、どうしたら悲劇を減らせるのか
現代日本において自殺は最も深刻な社会問題の1つだ。自殺を政策的に抑止する必要がある根拠はどこにあるのだろうか?。そしてどうすれば自殺を抑止することができるのだろうか?。
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#5
日本人に必要なのは、「分析力」と「職人技」
製造業が海外に移転し、サービス産業化が進む日本経済。これ以上の雇用減、賃金減を食い止めるには、「分析力」や「技」が生きるサービス業の生産性向上が重要だ。教育を見直す必要もある。
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#6
国は自己破産できるのか 国際社会が議論・整備を進めてきた救済の仕組み
最近、ギリシャの債務問題がまた騒がしくなってきた。筆者は2014年9月、国際通貨基金(IMF)を退職し大学に移った。債務問題というと4年前の2011年3月11日を思い出す。
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#7
国交省発注公共工事、2割が談合か 統計分析で突き止めた入札談合の実態
談合は現在、少なくなってきているといわれているが、少なくとも数年前までは日本の公共工事では談合が蔓延していた、と言われている。一方で、公正取引委員会による入札談合の摘発は年に数件程度にとどま…
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#8
農協改革はオランダに学べ 直接取引とも違う「マーケットメーカー」
日本の成長戦略の柱である農業改革・農協改革に関連して、オランダの農業が最近、脚光を浴びている。オランダ農業で大きな役割を果たすのは、新たな形態の「取引仲介」だ。
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#9
“断捨離”実行が、生産性を高める
製造現場は「生産性を引き上げよ」というスローガンを、耳にたこができるほど聞いているだろう。多くの日本企業が長年コストカットに取り組んでおり、これ以上のムダ削減の余地はさほど残っていない。で…
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#10
大相撲の八百長は根絶できる? 「1勝の経済価値」の格差改善が必要
2011年初頭、大相撲の八百長問題が大きな話題となった。十両力士らの間で勝星の売買・貸し借りに関するメールが見つかったからだ。関係する力士や親方の処分、不祥事による春場所開催中止など前代未聞…
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#11
経済学を人の行動に応用した先駆者、ベッカー教授
米シカゴ大学のゲイリー・ベッカー教授が、5月3日にシカゴ市内の病院で亡くなった。83歳だった。ベッカー教授は1992年にノーベル経済学賞を受賞したのを始め、計り知れないほど数多くの業績を残し…
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#12
ノーベル経済学者、ディートン教授のすごさとは
2015年のノーベル経済学賞は、プリンストン大学のアンガス・ディートン教授が選ばれた。 同じ不平等研究でも、ピケティが所得分配の最上位層に焦点を当てるのに対し、ディートンは分配の最下層(貧困…
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#13
革新的な「組み合わせ」を創り続けた先駆者、青木昌彦氏を悼む
いつまでも若々しく活動的だった青木昌彦さんが永眠されたことが、まだ信じられない。今でも、涼しげな帽子をかぶりストライプのシャツを着た青木さんが「あ、伊藤くーん」とちょっとはにかんだような笑顔…
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講師
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