「メカニズムデザイン」という手法がいま注目されている。これまでは経済学の最先端の学問という印象しかなかったが、実は、ビジネス上の問題解決におおいに役立つ。

 メカニズムデザインのビジネスへの活用について、ビジネスパーソンと研究者が交流する非営利のワークショップ「オークション・ラボ」が東京・有楽町で定期的に開催され、ひそかなブームになっている。この場での議論を書籍化した 『メカニズムデザインで勝つ』(日本経済新聞出版刊)から、著者である慶応義塾大学・坂井豊貴教授が語る最新の英知を読み取ってみよう。

 第1回はオークション理論について。どのようなメカニズムで売り手、買い手が共に「納得する価格」をつくり上げるのが理想的なのだろうか。

 メカニズムデザインは、オークション理論やマッチング理論などを含む、経済学の比較的新しいジャンルです。応用例は幅広く、世界を見渡せば不動産や学校選択など、ビジネス実務や社会での問題解決に大きな貢献が期待されています。

 人々のインセンティブを考慮に入れたうえで、集団的決定の仕組みをつくろうとする学問分野です。資源配分や意思決定などの領域で実現したい目標を、自律的/分権的に実現できるようなルールを設計することを目指しています。

 第1回はオークション理論について。売り手、買い手がともに納得できる売買が自律的に成立する仕組みづくりについて考察します。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り3324文字 / 全文3945文字

【春割/2カ月無料】お申し込みで

人気コラム、特集記事…すべて読み放題

ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能

バックナンバー11年分が読み放題