高所得層は貯蓄増やさず

 つまり強制的に保険料や掛け金を引き上げて将来の年金受給額を増やす政策で、貯蓄の意欲を損なわずに老後の所得を向上させることができるのだ。チェッティ教授らはさらに、将来の年金受給額が減ると知った高所得層の貯蓄行動の変化も分析した。理論モデルでは、最適化行動を取る個人はほかの方法で貯蓄を増やす。だがデンマークで減額対象になった高所得層の81%が、将来の年金受給額が減ると知っても、貯蓄行動を変えなかった。

 日本では、老後に不安を感じる人々が増えている。金融広報中央委員会の「家計の金融資産に関する世論調査」で、老後の暮らしを非常に心配していると答えた世帯は、1992年の14.8%から2014年には41.3%に上昇した。

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