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(日経ビジネス2010年10月4日号に掲載した記事を再編集しました。肩書などは掲載当時のものです)

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 不況が長引く中、米国ではホームレス人口の増加が問題となっている。2010年3月19日付の米ニューヨーク・タイムズ紙によると、過去1年で、ニューヨーク市の路上生活者は34%増加し、3万8000人がホームレスシェルターで生活する。ホームレス人口が増える一方、政府財政の悪化でホームレス支援の継続は困難になりつつある。

 ニューヨーク市では、就業したホームレスに2年間の住宅費のほぼ全額(本人の実質負担は月50ドル=約4200円、2010年当時)を補助してきたが、財政悪化で2010年8月から収入の3割相当分は本人が負担することが義務づけられた。

 この政策転換で、負担に耐え切れない人々が路上生活に戻らざるを得なくなる、との批判が聞かれる。しかし過度の保護が、福祉への依存心を助長して自立の努力を妨げた可能性も否定できない。いずれにせよ、財政難とホームレス人口激増の現状の下では従来の支援政策の継続は困難だ。人々が確実にホームレスから脱却して自立できる効果的なプログラムが必要とされている。

 筆者は、米アリゾナ州最大の通過シェルター(Transitional Shelter)と協力し、就労した入居者に貯蓄を増やしてもらうことで、シェルターを出て自立することを目指した政策実験を試みた。