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(「日経ビジネス」本誌2010年9月20日号に掲載した記事を、再編集したものです。肩書などは掲載当時のものです)

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 今年(2010年)に入り、金融機関の経営健全化や金融市場の安定化を図る様々な金融規制案に対し、国際金融市場が大きく反応した場面が何度かあった。例えば2010年1月21日、米国で金融機関の規模・業務範囲に関する制限強化を目的とした新金融規制案(ボルカールール)が発表されたとき、株価が金融株を中心に急落したのがその一例だ。

 また5月18日、世界的に株価が急落した。これを招いたのは、ドイツの連邦金融監督庁がデリバティブ(金融派生)商品の「ネーキッド空売り」(取引の裏づけとなる債券や株式を確保していない状態での空売り)を一時的に禁止したためとの指摘があった。

 こうした各国の規制に関する情報が伝わった後の、米国株式の不確実性指標(インプライドボラティリティー)を見ると、急激な上昇を示した後しばらく高止まっていた。つまり規制案の発表が、不確実性を高める大きな要因となっていた可能性がある。

情報が明確だと反応は限定的

 とはいえ国際金融市場が、金融規制強化策に関するニュースに常に強く反応するわけでもない。例えば2009年12月17日、バーゼル銀行監督委員会により銀行規制の枠組みに対する提案が発表された際は、米欧銀行株価の反応は限定的だった。先の2つの事例と違い、提案が具体的かつ詳細だったためとの指摘がある。