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(2014年2月25日の日経ビジネスオンラインに掲載した連載「最前線!行動する行動経済学」の記事を再編集しました。肩書などは掲載当時のものです)

■お知らせ
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 日本は、政治・経済の分野で女性のリーダーが極端に少ないことで知られている。日本で女性リーダーを育てることは、果たして可能なのだろうか。日本の大学生を対象にした実験研究の結果や、アメリカ・インドでの研究成果をもとに、女性の登用を促すための数値目標やクオータ制が社会にどのような影響をもたらすのか、そして男性への「逆差別」(優秀な男性が昇格できなくなる問題)は懸念すべきなのかを考察する。

極端に低い日本の男女平等指数

 世界経済フォーラムが毎年発表する男女平等指数ランキングで、昨年(2013年)日本は136カ国中105位だった。女性の識字率、中等教育就学率、平均寿命で日本は世界1位だが、その一方、国会議員に占める女性の割合が世界120位、管理職の男女比が世界106位と大変低い。

 内閣府男女共同参画局は、指導的地位(議会議員、法人・団体等における課長相当職以上の者、専門性が高い職業に従事する者)に女性が占める割合を、2020年までに少なくとも30%程度にする目標を掲げている。しかしながら、日本の衆議院における女性議員の比率は11.3%、2014年1月31日付の日本経済新聞の記事によると全府省庁の課長・室長以上の幹部に占める女性の割合はわずか3%である。

 2014年2月15日付の日本経済新聞の記事は、先進国では上場企業の女性役員比率がほぼ10%以上であるのに対して日本は2%弱であることを指摘し、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で一定数の女性幹部の登用を促すための数値目標やクオータ制(割当制)の是非が議論されたことを報告している。

政府の取り組み

 内閣府男女共同参画局は、指導的地位や管理職の女性を増やすために、クオータ制やゴール・アンド・タイムテーブル方式(女性幹部の登用について達成すべき目標と達成までの期間を設定する方法)の採用を推奨している。2013年12月18日付の日本経済新聞の記事によると、その政策の効果が表れたのか、女性管理職を増やすため数値目標を導入する企業が相次いでいる。