また、スウェーデンのストックホルム・スクール・オブ・エコノミクスのジョアナ・シュロター・ジョエンセン助教授とアーハス大学のヘレナ・スカイト・ニールセン教授は、1980年代にデンマークの一部の高校で、試験的に高等数学の授業の受講資格を緩和した結果を研究した。すると、高等数学の授業を受ける機会を得た女子生徒は、その後収入の高い技術系の就職をする割合が高く、高等数学の授業を受ける機会が限られていた女子生徒と比べて理系の修士号を取得したり博士号を取得したりCEO(最高経営責任者)になる確率が高かったことを明らかにした。

 さらに、研究の対象となった約2万5000人について男女間の賃金格差が34%もあったが、その5分の1が高等数学の授業経験の有無で説明できることを示した。日本では、個々人の高校で受けた数学の授業時間数と収入に関するデータがないので分からないが、日本でも女子高校生が理系の進路を選択して数学の授業をより多く受けることで、将来より収入の高い技術職を得る機会が増えることは大いに考えられる。

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