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 深刻化する米中対立の中で、日本企業はどのような備えをしておくべきか。日本は米中から“踏み絵”を迫られるような状況で、ビジネスへの影響は避けられない。

 「日経ビジネスLIVE ニューノーマル時代の成長戦略~新たな長期的価値の創造~」では、8月28日に特別セッションを開催。日経ビジネス電子版の人気連載「細川昌彦の『深層・世界のパワーゲーム』」の筆者で、通商・外交問題などに詳しい明星大学経営学部教授の細川昌彦氏を招き、新・冷戦とも呼ばれる米中対立の深層を解説した。

 本シリーズではその模様を5回に分けて掲載する。第1回は、米国が対中強硬策を繰り出す政策決定の力学を解説する。

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第2回 米中対立の主戦場は半導体、分断拡大で「踏み絵」迫られる日本企業
細川昌彦(ほそかわ・まさひこ)氏
明星大学経営学部教授 1955年1月生まれ。77年東京大学法学部卒業、通商産業省(現経済産業省)入省。「東京国際映画祭」の企画立案、山形県警出向、貿易局安全保障貿易管理課長などを経て98年通商政策局米州課長、2002年貿易管理部長などを歴任し通商交渉を最前線で担当した。 2002年ハーバード・ビジネス・スクールAMP修了。2003年中部経済産業局長として「グレーター・ナゴヤ」構想を提唱。2004年日本貿易振興機構ニューヨーク・センター所長。2006年経済産業省退職。大学で教べんを執る傍ら、自治体や企業のアドバイザーを務める。2020年9月から明星大学経営学部教授。

大竹剛(日経ビジネス編集):日経ビジネスLIVE 特別セッション「米中対立の深層 ビジネスを揺さぶる新秩序」にご参加いただき、ありがとうございます。本日は、日経ビジネス電子版で好評連載中の「深層・世界のパワーゲーム」の筆者、細川昌彦さんを招いて、深刻化する米中対立で何が起きているのか、そして、日本企業はどのように行動したらいいのかについて、考えてみたいと思います。細川さん、よろしくお願いします。

細川昌彦氏:よろしくお願いします。

大竹:早速ですが、昨今、米中の対立が深刻化しています。中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の問題が象徴的ですが、これまで細川さんは連載の中で、米国のトランプ大統領が主導して中国に対して強硬な姿勢を取っているように見えるけれども、実態は一枚岩ではないと指摘していました。トランプ大統領の考えとは別に、「オール・ワシントン」と細川さんが呼ぶ勢力があり、その中国に対する姿勢はオバマ前大統領のときから底流では変わっていないという話です。

 まず、この辺の話から、今の米中の対立を理解するために押さえておきたいポイントを解説していただけますか。