(2012年7月31日の日経ビジネスオンラインに掲載した記事を再編集しました。肩書などは掲載当時のものです)

 グローバル資本主義に対する批判やウォール街の占拠など、世界中で「市場主義」に対する否定的な見方が広まっている。伝統を、地域コミュニティーを、道徳を、愛を、尊厳を、すべてをカネで買いあさる。そんな市場主義に少なからぬ人々が違和感を抱いている。筆者は経済学者だが、個人的にはそのような「市場主義に対する違和感」に共感するところも多い。また、マイケル・サンデル米ハーバード大学教授の著書『それをお金で買いますか 市場主義の限界』にもあるように、市場主義の正当化の役割を担っているのが経済学だと目されたりもしている。

青空が広がる整然とした街並み。東京でこうした街並みは極めて貴重だ

 経済学は本来、お金に関する学問ではなく、社会や人間行動に関する学問だ。確かに経済学ではお金の役割が強調されることも多いが、社会現象の分析を出発点とするところは、法学や政治学と同じだ。ただ、視点が異なるわけだ。その違いを次の例を手がかりに考えてほしい。その上で、市場主義と経済学の役割に立ち戻ろう。

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この記事はシリーズ「新しい経済の教科書 Lesson4 リバランスの経済学」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。