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(2012年1月30日の日経ビジネスオンラインに掲載した記事を再編集しました。肩書などは掲載当時のものです)

 経済学では時々、普通の日本人の感覚からするととんでもない議論をする。日本人だけでなく、結婚など家族の問題を経済学で分析したシカゴ大学のゲーリー・ベッカー教授も、1970年代当時は米国でかなりキワモノ扱いされたそうだ。一方、現在の日本では、人口の少子高齢化が社会福祉政策と政府債務の持続可能性に暗雲を投げかけている。その主な要因の1つが結婚率の低下である以上、結婚に関する政策を経済学で論じてみてもそれほどおかしなことではなかろう。

 結婚でも就職でも人間関係とは複雑なものだ。そこに国の政策に出る幕があるだろうか。 基本的には個々人の間の問題のはずだが、社会一般に受け入れられる規範があれば、社会的な制裁や称賛という形で 人間関係は外部からの圧力にさらされる。特に重要な社会規範は法律の形で、国家の政策となる。

 人間関係の本質について、経済学では何も言えない。仕事への情熱、結婚相手への愛情は、政策で増強され得ないものだ。しかし、結婚に踏み切るあと一歩が踏み出せない人たちにとっては、細かいことが障害になり得る。例えば、夫婦別姓が認められていない現状、事実婚や婚外子の社会的な地位の低さが、結婚の障害として残ってはいないだろうか。先にも述べたように、日本の経済問題の主因の1つが少子高齢化である以上、事実婚も含め結婚に対するハードルを少しでも下げる努力をすべきではないか。