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「論理思考」などの基礎的なスキルがあればすべての問題に対処できる

(み):私がいう基礎は、知識もありますが主にスキル面です。それが第6回の「意思決定力(決める力)」であり「伝える力」「聴く力」「発想力」などです。「決める力」「伝える力」「聴く力」などのベースになるのが「論理思考」で、ここ数年ずっと企業が学生に求める能力の1位になっています。それを受けてか出版された関連書も100冊を超え、一般の研修や講義でも論理思考系(クリティカル・シンキングなど)は多くの受講生を集めます。でもそれを使いこなせている人はほとんどいません。なぜなら同じ技を使い続ける練習が足りないからです。講義の中でもいろいろな技を教えすぎです。そして講義を超えてそれらを使い続けることもありません。それではスキルとして身につくわけがありません。

 受講生にまず理解してもらうことは、いかに自分が「論理思考」すらできていないか、です。私はすべての発言やレポートに対して、それらが論理的な考え方や伝え方からいかに外れているか、どうやったら論理的な主張になるのかを指摘し続けます。私が伝えようとしている「考え方」は子どもたちでもすぐ理解し、使いこなすことができます。それはとてもシンプルな基礎だからです。そして、それらの基礎をしっかりやれば、それだけでほとんどすべての問題に対処できるのです。

 未来を担う子どもたちも、これさえできるようになれば将来を不安に思うこともありません。ほとんどの人ができていないのだから、それができるようになればいいのです。どんな業種、職種、会社で働こうが関係ありません。子どもたち向けの教育活動をちゃんとやりたいと思って始めたのが、アクセンチュアを辞めた2006年頃です。もう14年以上になりますね。そこでずっと気をつけていたのは、学びの楽しさと達成感です。

失敗から始めて達成感を得るアクティブ・ラーニング

(み):私の講義や研修は、必ず「失敗」からスタートします。最初に問題や課題を出して、解説なしで受講生にやってもらいます。もちろんみんな失敗しますが、その後に、こういう「考え方」を使うのだとインストラクションしてから同じような問題をもう1回やるのです。当然少しは良くなります。そのギャップが、達成感や楽しさを生み、学びにつながるのです。

 最初から「こう考える」と言ってしまえば、もう自分では考えません。それでうまくいっても当たり前だし、うまくいかなければ「考え方が悪い」となります。でも、1回失敗しているので、いかに自分がちゃんと考えられなかったか、そこからどう改善したのかが自覚できます。それで初めて、「考え方」の価値が体感できるのです。

 自分で考えてアウトプットすることで、経験値はゼロから1に変わります。これが「アクティブ・ラーニング」なのです。ただ座ってボーっと聞くのではなく、自分でちゃんと考えるからこそ自分のものになっていきます。