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米A&Pは15年で1万6000

(み):20世紀初頭、アメリカではA&Pという会社が新業態「エコノミーストア」を創造し、たった15年で1万6000店に拡げました。最初はお茶を輸入して格安販売する会社でした。創業者から後を継いだジョージ・ハートフォードがそれをグローサリーストアとして米に200店展開し、その息子ジョン・ハートフォードがさらにエコノミーストアに変えました。当時のアメリカではニューヨークのど真ん中であったとしても、つけ払い、配達をしてもらうのが普通という世界でした。でもエコノミーストアは乾物中心でキャッシュ・アンド・キャリー(現金持ち帰り)方式、おまけのスタンプも電話対応もなし。店舗は600平方フィート(コンビニエンスストアの3分の1程度)の大きさで300品目(同10分の1)に絞り込み、たった1人でオペレーションできます。

食料品を扱う店として米国で急拡大を遂げた後、破たんしたA&P(写真=George Rinhart / Getty Images)

 作業はマニュアル化もされて、非熟練者でもできる。これが本格的なチェーンオペレーションの最初だといわれています。やり始めてたった15年で1万6000店に達しました。当時はアメリカの人口は1億人くらい(日本は5000万人)なので凄い浸透度です。徹底した簡素化と定型化がそういった爆発的成長につながったと言えるでしょう。

(守):簡素化や定型化は強力な武器ですが、模倣されやすいのではないでしょうか。結局A&Pも破綻しましたし、最初にディスカウントストアを創造したKマートも10数年後にウォルマートに大逆転されました。日本でも、例えば外食産業はひとつ当たりが出ると、パクったお店が乱立して、最終的には飽きられてなくなってしまったりします。そういう中でも残っていくところと残らないところとは何が違うのですか。

(み):一番単純な答えは「だからこそナンバー1に」です。なぜ爆発的成長を目指すのかというと、同じことをやっていても一番大きければ一番安く調達できるし、お客さんに対しても一番広告もできます。いわゆるエコノミー・オブ・スケール(規模の効果)が効くからです。ITの世界はそれがもっと激しく、同じものは一つでいいという感じで、検索エンジンもポータルも、みなが競い合いました。真似しやすいからこそ急成長を目指すのだ、というのが一番単純な答えだとは思います。