上下関係をどう崩すのか

(み):組織内の情報をオープン化することで、構成員の上下関係を破壊したのがダン・シロカーの「データ民主主義」でした(第20、第21回参照)。組織の目的を達成するための貢献の意味では、全員が役割は違っても相応の貢献ができるし、そこに上下はありません。目的をはっきりさせることと、それに対して情報へのアクセスも共通にすることで、上下関係は崩れていくのです。ただそのとき、中間の人たちはちょっとつらいですね。

 普通の企業は役割分担によって仕事をしています。ただ役割分担と言ったら、機能別の左右もあるけれども、経営者から平社員までの「階層」があるので、それが自然と「上下」関係を生むことになります。さらにそれは上司の部下に対する指揮命令権や監督権によって制度化すらされます。だから家族主義の呪縛を逃れるには、「共通の目的のためには上下はない」と本当に徹底できるのかどうか、なのです。

 徹底のためのスタート地点は、先ほどの社内データのオープン化、「データ民主主義」でもいいかもしれません。もしくは、「人事異動の自由化」という手もあります。社員が別の部署で働きたいと手を挙げ、それが相手部署に認められたら、今の上司に拒否権はないという仕組みです。そうすると、特定の上司の支配下で駒のように使われることがなくなって、貴重な戦力として大切にもしてもらえます。部下が、「この部署にいて楽しい」「成長できる」と感じられなければ、部下がどんどんいなくなってしまうので。

(守):それはドラッカーが指摘していた、知識労働者の働き方そのものですよね。ドラッカーは映画を作るのに例えていて、映画を撮りますというと、必要なプロフェッショナルが集まって、協力をして、撮り終わったら、また別の形に組み替える、そんな形態が今後主流になると指摘しました。当然、監督に才能があれば、若くたって何も問題がない。それがうまく機能していくと、上下関係や序列は違った発想による組織が可能になるということですよね。

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