(2012年10月24日の日経ビジネスオンラインに掲載した記事を再編集したものです。肩書などは当時のものです)

 情報通信技術の急速な発展の中で、果たして新聞社は生き残ることができるのだろうか。これはかなり深刻な問題だ。

 というのも近年、新聞・雑誌・放送業界では広告収入が激減しており、恐らくその影響で人員や編集・制作費用の削減が続いているからだ。存続が危惧されている媒体も増えている。例えば、米国の連邦通信委員会が2011年に報告したところでは、2005年から2009年のわずか5年間で新聞の広告収入(オンラインを含む)は47%も落ち込み、スタッフも2006年から25%以上も削減されている。日本新聞協会によると、日本の新聞の広告収入についても、ほぼ同じである。

 日本経済新聞電子版は2012年8月、電子版会員が150万人になったと発表した。有料会員はうち22万人だという。こうした「電子版の有料会員の増加」という良いニュースがある一方で、紙の新聞の購読者数は減少傾向にあり、全般的に見て新聞業界の経営は厳しくなってきたと思われる。

 このような傾向自体は、インターネットや携帯メディアの発展による当然の帰結と考えれば、特段驚くに値しないかもしれない。問題は、つぶれるまではいかなくても、経営上の都合でこれらのメディアコンテンツの担い手であるプロの記者や編集者が少なくなることだ。結果としてジャーナリズムの質や量の低下を招き、社会的な価値の毀損が生じることが懸念される。

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