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(写真:PIXTA)

(2015年4月8日に日経ビジネスオンラインで公開した記事を再編集しました。肩書などは掲載当時のものです)

 「ビッグデータ」や「データサイエンス」という言葉がちまたにあふれるようになり早数年がたつ。読者の多くも、ビッグデータやデータサイエンスをテーマにした雑誌や書物を一度は手にした、または購入した経験があるのではないだろうか。

 筆者は米国のビジネススクールでMBA(経営学修士)課程の学生たちにマーケティングマネジャーのためのデータサイエンス入門を教えているが、学生たちの間でも、マーケティングの分野で生きていくにはデータサイエンスを理解することは必須の条件となっている。

 彼らは必ずしも、高度な統計技術を駆使するデータサイエンティストになるわけではないが、データサイエンティストたちときちんと意思疎通ができ、ビジネスのために有効活用する能力はこれからの企業のマーケティングマネジャーたちにとって欠かせない能力になってくるであろう。

パターン思考が間違った結論につながる恐れも

 ビッグデータが重要なトレンドであることに疑いの余地はないが、ちまたのビッグデータに関する言説を見ていると、若干の不安を感じることも事実である。テレビやネットに流れるビッグデータに関する記事を読むと、何百万という消費者行動のデータから機械学習などの統計的テクニックがデータに隠された秘密のパターン(風が吹けばおけ屋がもうかる、といった)を浮かび上がらせる、というような話が多いように思われるが、それはビッグデータの持つ可能性のほんの一部でしかない。

 もちろん、新たなパターンを見つけることはとても重要だが、それと同等かそれ以上に、その背後にある理由、因果関係を理解することが、実際に意思決定をするマネジャーにとって重要である。しかし、たくさんのデータを集め、そのようなパターンに統計的な意味があるのかないのか判別できるようにはなっても、一概にはその背後にある理由までは明らかにしてはくれない。極端な場合、そのようなパターンに基づいた意思決定が間違った結論を導いてしまう可能性もあるのである。