(2014年2月3日の日経ビジネスオンラインに公開したものです。肩書などは当時のものです)

 ビッグデータ分析がビジネスの世界で広がる中、アカデミアの世界にも大きな影響を及ぼしている。このほど、最新のビッグデータ分析手法を開発し、中国政府の検閲の実態について分析した計量政治学者であるゲイリー・キング米ハーバード大学教授に、研究が実現した背景などについて聞いた。

(聞き手は広野 彩子)

最先端のデータ分析手法を使って、政治に関するデータを分析したそうですね。なぜ政治学で定量的な分析が急速に発展しているのでしょう。

キング:政治学の世界における最近の最も大きな変化は「政治的な現象に関する総合的なデータを集めて分析ができれば、政治についてさらにいろいろなことが明らかになる」とはっきり分かってきたことでしょう。そして近年、データをどう扱えばいいのかが分かってきた。膨大なデータから、いかに有意義な情報を引き出せるか、その分析ツールの開発が進んだのです。

膨大なデータ、ビッグデータですね。

データだけでは価値は生み出せない

ゲイリー・キング(Gary King)
米ハーバード大学教授。2009年、同大学で最も目覚ましい業績をあげた教授にのみ与えられるUniversity Professorの称号を与えられた。1980年米ニューヨーク州立大学卒業、84年、米ウィスコンシン大学マディソン校でPh.D.取得(政治学)、ニューヨーク大学政治学部助教授。87年、ハーバード大学政治学部准教授。1990年から同教授。社会科学研究の多くの分野に応用できる、実践的な統計的分析手法を開発している。(写真:陶山勉)

キング:ビッグデータというときは、データそのものだけを指すのではなく、その「分析」を指すのです。ビッグデータは確かにデータですが、データだけではイノベーションにならない。イノベーションの肝は、データがもたらす情報をどう扱うか、にあります。世界では、2日おきに10億件もの投稿がソーシャルメディアにアップされています。それを使ってどうすればいいでしょうか。

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