(2015年6月17日の日経ビジネスオンラインに掲載された記事を再編集したものです。記事本文の肩書などは掲載当時のものです)

経済学者が創造する架空の世界を「モデル」という。実際の経済で政策をあれこれ実験すると国民に迷惑がかかるので、政策担当者はモデルといういわば「実験室」で税率を変えたり、規制を変えたりして、政策の効果をシミュレーションする。経済学者はモデルの予測力を上げるためにデータを用いてその妥当性を検証し、必要があれば改良する。
モデルの中には、現実を模してたくさんの消費者や企業が存在する。政策が変わると彼らも自分の得になるように行動を変え、その結果異なる均衡状態が生じる。政策担当者は少なくともモデルの中において最も効果的な政策が何か見極められるというわけだ。
筆者の最近の研究もやはり政策の効果を簡単なモデルを使ってシミュレートするものだ。政策の標的はずばり「コネ」。親戚や大学の先輩を頼って企業に就職したというような話を読者の方も聞くことがあるだろう。そういったコネの存在が格差社会の温存の一因になっているという議論は米国でも以前からある。筆者の研究の問いは、「コネを通じた採用を禁止/制限すれば、コネを持たない人の厚生(満足度)は向上するか」どうか、である。
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