(2014年1月7日に日経ビジネスオンラインで公開した記事を再編集したものです。肩書などは掲載当時のものです)

 政治は誰の生活にも大きく影響する。どのような政治が行われている国や地域に住むかによって、人生はかなり違うものになるだろう。

 近代経済学に政治経済学という学問領域がある。名前を聞くと、政治と経済について研究する分野かと思われる方が多いかもしれない。しかし実際は、政治の問題を経済学の視点を使って研究する、という性質のものだ。経済学の視点、とは大ざっぱに言ってしまえば数学を使うということだ。つまり政治経済学では、数学を使って政治の諸問題を分析するのだ(ただし政治経済学という用語は他分野にて別の意味で使われることもあるが、今回はその話はしない)。

数学なんかで政治が分かるのか?

 政治のことが、数学なんかで分かるの?と思われる方がいるかもしれない。もっともな疑問だ。正直言って、今はまだよく分からない。だから政治経済学者たちは今でも頭を悩ませている。だが、少しずつ分かってきたこともある。

 この記事では、そんな政治経済学の分野で筆者2人が6年間にわたり研究してきた成果を紹介しよう。この研究成果は学術論文(詳しくは参考文献を参照)となり、つい最近American Economic Journal:Microeconomicsという経済学の専門誌に掲載されることが決定した。

 政治活動の中で最も重要な要素の1つは選挙だろう。世界の多くの国が程度の違いこそあれ民主主義国家であり、国民の意思を国家運営に反映させるための手段として選挙を多く用いている。この選挙を数学の力を借りて分析したのが我々の論文である。

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