企業は何のためにあるのか。この古くて新しいテーマを長年、研究してきたのが英オックスフォード大学サイード経営大学院のコリン・メイヤー教授だ。2019年は米国発で株主至上主義に対する疑義が唱えられ、大きなうねりとなっていった。
そんな潮流の中で、新型コロナウイルスの「災禍」が人類を襲い、企業経営やそこで働くこと、そして社会との関係を見つめ直す機運も高まった。改めて、企業とは何のためにあるのかを問い直す機運も生まれている。
本連載では、メイヤー教授、長年の共同研究者である早稲田大学の宮島英昭教授と、コーポレートガバナンス研究が専門の早稲田大学・鈴木一功教授にコロナ後の市場経済の在り方について聞いていく。また最後に、2019年11月に日本学術振興会、早稲田大学高等研究所、早稲田大学ビジネススクールなどの共催により早稲田大学日本橋キャンパスの早稲田NEOにおいて開かれた、メイヤー教授の講演録を公開する。(写真左(鈴木一功教授):稲垣純也、背景:PIXTA)
Withコロナ時代の株主至上主義

完結
5回
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#1
災禍の企業経営、「フリードマン・ドクトリン」からの脱却
企業は何のためにあるのか。この古くて新しいテーマを長年、研究してきたのが英オックスフォード大学サイード経営大学院のコリン・メイヤー教授だ。新型コロナウイルスの「災禍」が人類を襲う中「企業は何…
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#2
「企業には、契約より信頼の方がはるかに重い」
企業は何のためにあるのか。この古くて新しいテーマを長年、研究してきたのが英オックスフォード大学サイード経営大学院のコリン・メイヤー教授だ。かつての日本のメインバンク制度や株式持ち合いは、仕組…
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#3
コロナ禍でも、アクティビストの勢いは止まらない
世界中で繰り広げられる金融緩和で金融市場は「健全に機能」しているように見える。だが、激変する環境の中、危機下の企業ガバナンスは今後、どうなっていくのか。リーマンショック後とは、何が違うのか。
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#4
成長戦略としてのガバナンス改革は、失敗だったのか
「アベノミクスによるコーポレートガバナンス改革は、成長戦略としては道半ば」という、早稲田大学商学学術院の宮島英昭教授。世界的には、コロナ禍も相まって「企業による社会課題解決」が注目されている…
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#5
日本は「ハイブリッドシステム」でガバナンス強化を
企業の目的、存在理由を重視する経営を説き続ける、英オックスフォード大学サイード経営大学院のコリン・メイヤー教授。Withコロナ時代の株主、企業統治の在り方を考える本連載の最終回は、2019年…
講師

コリン・メイヤー
こりん・めいやー
英オックスフォード大学サイード経営大学院教授
英オックスフォード大学卒業、同大学経済学博士(Ph.D.)ロンドンシティ大学教授などを経て、1994年から現職。2006~11年には、サイード経営大学院学院長を務めた。金融論のトップジャーナルの編集委員を務める一方、ヨーロッパ経済政策研究センター(CEPR)、ヨーロッパ・コーポレートガバナンス研究所(ECGI)フェローなどを歴任。
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