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 一橋ビジネススクールの楠木建教授と社史研究家の杉浦泰氏がタッグを組んだ、オンラインゼミナールの人気シリーズ「逆・タイムマシン経営論」。世間に流布する言説に惑わされずに意思決定を下すための視座を手に入れるために、様々な企業の意思決定を“近過去”に遡って当時の社会的風潮(ムード)を踏まえて検証している。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響が長期化し、先行きは依然として不透明だ。収束後を視野に入れた戦略を各社が急いで構築しようとしている今こそ、変化の本質を見極める必要がある。教訓を学ぶためにタイムマシンに乗って近過去に遡ってみよう。

※シリーズに大幅に加筆した書籍『逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知』(日経BP)を発売!

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第1回出口治明、J・ダイアモンドほか/「危機」を克服してきた世界

(1)逆・タイムマシン経営論 第1章 飛び道具トラップ(全5回)

(写真:PIXTA)
楠木建
一橋ビジネススクール教授

楠木建
社史研究家

 これまで日本企業の多くが、日本より先を行く米国のビジネスモデルを輸入する「タイムマシン経営」に活路を見いだしてきた。だが、むしろ、大切なのは技術革新への対応など過去の経営判断を振り返り、今の経営に生かす「逆・タイムマシン経営論」だ。第1章は、トラップの典型例である、「サブスク」や「AI(自工知能)」などの繰り返し登場する「バズワード(定義があいまいな専門用語)」に着目する。

第1回 猫も杓子もサブスクの愚、「同時代性の罠」にはまるな
第2回 まるでAIブーム、業革の秘密兵器と期待された「ERP」
第3回 ヤマト、セブン、花王が「SIS」で競争優位を作れたワケ
第4回 マッキンゼー躍進、「ベストプラクティス」が誘発するブーム
第5回 サブスク、AI……「飛び道具の罠」に落ちるメカニズム



(2)逆・タイムマシン経営論 第2章 激動期トラップ(全5回)

(写真:イメージナビ /amanaimages)
楠木建
一橋ビジネススクール教授

楠木建
社史研究家

 技術革新が起きるたびに、「今こそ激動期!」「これまでの常識が通用しなくなる!」といった言説がメディアをにぎわせ、経営判断に大きな影響を及ぼしている。なぜ、「激動期」は繰り返されるのか。そして、そのトラップをどのように回避したらよいのか。

第1回 自動運転で産業激変? 経営惑わす「激動期トラップ」を徹底検証
第2回 「インターネットは隕石」だったのか? 人間はすぐには変われない
第3回 見た目はすごかった! セグウェイもグーグルグラスも落ちたわな
第4回 インダストリー4.0はどこへ? 激動を錯覚させる「テンゼロ論」
第5回 自動運転もシェアリングも「革命」とはいえない理由



(3)逆・タイムマシン経営論 第3章 遠近歪曲トラップ(全5回)

(写真:PIXTA)
楠木建
一橋ビジネススクール教授

楠木建
社史研究家

 なぜ、「遠いものほど良く見え、近いものほど粗が目立つ」のか。私たちは、例えばイノベーションでは米国のシリコンバレー、社会モデルではスウェーデンなどの北欧諸国を「すばらしい」と礼賛しがちだ。こうした地理的に遠い諸外国だけではなく、時間軸でも「あの頃は良かった」と遠い過去のことを美化してしまうのが世の常だ。こうした「遠近歪曲トラップ」にはまらないためにはどうしたらよいのか。

第1回 遠いものは良く見える? 「シリコンバレー礼賛」の大間違い
第2回 70年代から「ソニー神話崩壊」、繰り返される日本的経営の限界論
第3回 なぜ、人口は増えても減っても「諸悪の根源」とされるのか
第4回 あのCEOは大丈夫? 海外スター経営者を過大評価してしまう理由
第5回 「日本はダメ」という言説を疑え! 判断を惑わす罠を回避するには?

「逆・タイムマシン経営論」が本になりました!


 日経BPから新刊『逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知』を発売!

 「飛び道具トラップ」「激動期トラップ」「遠近歪曲トラップ」。経営を惑わす3つの「同時代性の罠」を回避せよ! 近過去の歴史を検証すれば、変わらない本質が浮かび上がる。戦略思考と経営センスを磨く、「古くて新しい方法論」。『ストーリーとしての競争戦略』の著者らの最新作!

 これまで多くの企業が、日本より先を行く米国などのビジネスモデルを輸入する『 タイムマシン経営』に活路を見いだしてきた。
 だが、それで経営の本質を磨き、本当に強い企業になれるのだろうか。
 むしろ、大切なのは技術革新への対応など過去の経営判断を振り返り、今の経営に生かす「逆・タイムマシン経営」だ。

 経営判断を惑わせる罠には、AIやIoT(モノのインターネット)といった「飛び道具トラップ」、今こそ社会が激変する時代だという「激動期トラップ」、遠い世界が良く見え、自分がいる近くの世界が悪く見える「遠近歪曲トラップ」の3つがある。
 こうした「 同時代性の罠 」に陥らないためには、何が大事なのか──。
 近過去の歴史を検証し、「新しい経営知」を得るための方法論を提示する。