日経ビジネスでは、連載記事とイベント、ライブ配信などを組み合わせた新しいコンテンツ「Raise LIVE」を日経ビジネス電子版で展開している。2020年2月には平日午後7時から毎日、東急が運営するオープンイノベーション施設「SOIL(ソイル)」でイベントを開催。その冒頭で、「10分でわかる シブヤのリンカク」と題し、スタートアップが集まる東京・渋谷の今後について、渋谷のスタートアップコミュニティーにかかわるゲストを招いて公開取材した。日経ビジネス電子版オンラインゼミナールでは、有料会員向けに一部を除いたライブ映像を再配信する。

 100年に1度とも言われる大規模再開発で、東京・渋谷の街はどのように変わるのか。企業活動にどんなメリットをもたらし、イノベーションをどう育んでいくのか──。渋谷のスタートアップ・コミュニティーに関係するゲストへのインタビューを通じて、編集部の記者がその“リンカク”を探る。

登壇者 インタビュアー
01 日比谷尚武 ロックバーshhGarageオーナー
シブヤのハブが加速するイノベーション
島津 翔
02 金山淳吾 渋谷未来デザイン理事
渋谷をクリエーターの聖地に
原 隆
03 岩田真一 MIRAISE CEO
日本にエンジニア起業家が少ない理由
原 隆
04 澤田伸 渋谷区 副区長
行政のスピード感が渋谷を変える
島津 翔
05 加藤信介 エイベックス グループ執行役員
新規事業の仕掛け人が語るコンテンツの価値
島津 翔
06 尾西祥平 三浦法律事務所 パートナー弁護士
法律がスタートアップの盲点に
大竹 剛
07 笹原優子 NTTドコモ グロースデザイン担当部長
社内新規事業の実現を加速させる
原 隆
08 朝日透 早稲田大学理工学術院 教授
世代・性別・業種を超えた空間を
定方 美緒
09 野城智也 東京大学生産技術研究所 教授
企業と大学が新しい価値を生む
島津 翔
10 則武里恵 パナソニック 100BANCH オーガナイザー
次の事業の創造目指す
中沢 康彦
11 吉原宗雄 N-Village社長
破壊的イノベーションを興す使命
原 隆
12 百合本安彦 グローバル・ブレイン 社長
新たなVCの姿を追い求める
原 隆
13 藤本あゆみ Plug and Play Japan 執行役員CMO
イノベーターたちを渋谷で結びつける
定方 美緒
14 東浦亮典 東急 執行役員
防災性備えた街づくりを
定方 美緒

 渋谷駅周辺では、2012年に開業した商業施設「渋谷ヒカリエ」を皮切りに、24年までに9つの再開発プロジェクトが完成する。東急で渋谷開発事業部長を務める東浦亮典執行役員は「古き良き昔の文化や薫りを残しながらも、移動しやすく、いつか来るかもしれない首都直下地震や都市型ゲリラ豪雨にも耐えられる防災性を備えた開発をしていきたい」と語った。

 ハードに加えて、コミュニティーを育んだりイノベーションを促したりする仕掛けも動き出している。例えば、商業やオフィスなどの複合施設「渋谷スクランブルスクエア」15階にオープンした会員制施設「QWS(キューズ)」。未来の種を生み出すための施設で、東京大学など5つの大学と提携し、企業とのコラボレーションを狙う。早稲田大学理工学術院の朝日透教授は、「世代を超え、性別を超え、さらに業種を超えて楽しめるような空間ができればいいと思っている」と語った。

登壇したMIRAISEの岩田真一CEO(最高経営責任者)と、インタビュアーを務めた日経ビジネス副編集長の原隆
登壇したMIRAISEの岩田真一CEO(最高経営責任者)と、インタビュアーを務めた日経ビジネス副編集長の原隆

 大学の授業などでは学べない多様な価値観に触れていくことも期待する。渋谷の可能性に企業も秋波を送っている。NTTドコモでグロースデザイン担当部長を務める笹原優子氏は、本社のある溜池山王を「ビジネスや政治の場」とする一方で、「渋谷は実際に消費者が生活している場。この人たちのためにサービスをつくるという視点がクリアになる」と話した。

 1990年代後半のIT(情報技術)バブル期、渋谷は谷地形を由来としてシリコンバレーになぞらえて「渋谷ビットバレー」と呼ばれた。だがその後、オフィスの床面積が足りず、次々に有力企業が一旦は外に出た。

 ただし、一度は六本木ヒルズに移転したグーグル日本法人が渋谷ストリームに“出戻り”するなど、IT企業を中心に渋谷に再集積する動きもある。それは、「ビットバレー2.0」とも呼ばれるうねりだ。

 ハードとソフトを兼ね備える渋谷。ヒト・モノ・カネが集まる街が、企業の成長を促す「場」になりつつある。