技術は「非連続」でも人間は「連続」している

 ここで注目すべきは、インターネットが自動車と比べて「軽い」技術革新だということです。インターネットも光ファイバー、基地局、閲覧端末、サーバーといったハードウエア、そして何より分散的な情報処理のそれぞれを動かし、さらにはそれをつなぐソフトウエアという補完財が必要となりますが、それは自動車が必要とした道路や給油所などの広く重く厚いインフラと比べればはるかに軽微な投資です。

 ユーザーにとっての初期投資も自動車と比べればごく軽いものです。SNSを使った情報発信に至っては、手元にインターネットに接続されたスマートフォンが1台あれば可能で、そこに技術的な制約がある話ではありません。短期間で世の中に「激動」をもたらすはずです。なぜインターネットは同時代の予測のような「革命」にならなかったのでしょうか。

 その答えは、同時代の空気の中で華々しい技術確認にばかり目が向いてしまい、技術を使う側にいる人間の本性についての理解や洞察がおろそかになるということにあります。

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