同社の検索エンジンは、中国市場で約90%のシェアを占める。世界のマーケットにおいてもグーグルに次ぐ第2位だ。勢いを増した同社は2005年8月にナスダックへの上場を果たした。グーグルが提供するグーグルマップのように、衛星画像やストリートビューが表示できる地図アプリ「バイドゥマップ」を展開している。とはいえ、AI(人工知能)技術はグーグルほど優れているわけではない。
「コピー元」アマゾンを猛追するアリババ
世界最大の電子商取引(EC)プラットフォームであるアマゾンを猛追するのが、クラウドサービスやEC、決済プラットフォームを手がけるアリババだ。1999年にジャック・マー氏が設立した同社は当初、BtoBのマーケットプレイス事業を展開していたが、その後、CtoCのマーケットプレイス「タオバオ」や、決済プラットフォーム「アリペイ」などを次々と始めた。
2014年には米国のニューヨーク証券取引所に上場。IPO時の時価総額は約25兆円と史上最大の値をつけ、話題となった。アリババが開発した決済プラットフォーム事業は、現在は系列の金融サービス会社アント・フィナンシャルに引き継がれており、QRコードや顔認証など幅広い決済方法で中国屈指のシェアを誇る。
もともとアマゾンのコピーだったアリババは、クラウドサービスも手がけ、後追いではあるがいくつかの分野で独自の進化を遂げ、今ではアマゾンよりも先んじた決済システムを構築している。レジなし店舗「AmazonGo」を追随するかたちでレジなしスーパー「フーマー」などを展開、AIやIoT(モノのインターネット)などで最先端技術を駆使したスマートホテル「FlyZoo Hotel」を立ち上げるなど、独自の事業展開を試みている。
アプリの収益は世界一の「テンセント」
Tencentは1998年、当時26歳だったポニー・マー氏によって設立された。BATHの中でも特に勢いがあり、成長を続けているインターネット企業だ。創業以来、SNS(交流サイト)やメッセンジャーアプリなど、コミュニケーションアプリを展開することからフェイスブックと対比して取り上げられやすい同社だが、現在の主な事業は2011年にサービスを開始した無料インスタントメッセンジャーアプリ「ウィーチャット」だ。
ウィーチャットは、メッセンジャー機能やSNS機能などを統合したアプリで、日本で人気のLINEと近い。スマートフォンが普及し、モバイルコミュニケーションが主力になることを見越してアプリの開発に注力した同社では、2017年にはアプリでの収益で世界一となった。2013年には決済プラットフォーム「ウィーチャットペイ」をリリース、アリペイとともに中国国内の2大決済アプリとなっている。
このウィーチャットペイを軸に、食品宅配サービスや配車サービス、動画配信サイトと連携し、世界に先駆けていわゆる何でもここだけで事足りる「スーパーアプリ」への進化を遂げている。ヤフージャパンによるLINEの買収は、ウィーチャットペイを見習ったスーパーアプリへの進化を狙っているといえるだろう。
米中貿易戦争で注目を浴びる通信機器メーカー「ファーウェイ」
以前はバイドゥ、アリババ、テンセントの3大IT企業を「BAT」と呼んでいたが、近年、通信機器メーカー「HUAWEI(ファーウェイ)」の躍進により、「BATH」と呼ばれるに至った。1987年の創業以来、携帯電話のアンテナやスマートフォン端末の開発・製造を手がけてきた同社は、2019年に折りたたみ型の液晶スマートフォンを独自開発したことでも話題になった。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1321文字 / 全文3667文字
-
【春割】日経電子版セット2カ月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
【春割/2カ月無料】お申し込みで
人気コラム、特集記事…すべて読み放題
ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「文系にも分かる 最新テクノロジービジネス講座」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?