ただ今、ご紹介いただきました稲盛でございます。アンドリュー・ハミルトン総長から過分なご紹介をたまわり、恐縮いたしております。また、歴史あるオックスフォード大学のシェルドニアン・シアターでお話をさせていただく機会をたまわり、光栄に存じます。

 本日は、最初に、私が2013年3月までおよそ3年にわたって携わってまいりました日本航空の再生についてお話しさせていただき、次に、私が半世紀以上にわたる経営において貫いてまいりました、「フィロソフィに基づく経営」についてお話ししたいと思います。

(写真/アフロ)
(写真/アフロ)

 お話を進める前に、簡単に自己紹介をさせていただきます。1959年に、私は自らのファインセラミック技術をベースに、京セラを創業いたしました。現在、京セラは、各種部品、デバイスから、ソーラーシステム、さらには携帯電話や複写機などの電子機器まで生産する、総合メーカーに成長しています。売り上げは1兆4400億円、税引前利益率は10%です。

 また、84年には、日本の通信の自由化に際し、KDDIの前身となる会社を興し、電気通信事業に進出いたしました。移動体通信事業を手掛けることで、KDDIは現在、日本有数の通信事業者として、売り上げは4兆3300億円、経常利益率は15%と高収益を維持しつつ、成長発展を続けています。

 さらには2010年2月に、倒産し会社更生法の適用を受けた日本航空の会長に就任し、再建に努めてまいりました。組織風土を一新することで業績はV字回復を遂げ、12年に再上場を果たすことができました。現在では、売り上げ1兆3000億円、経常利益率12%という高収益企業に生まれ変わっています。

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