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自由に意見を言っていいという権利があるのではなく、意見を言わなければいけない義務がある会社、それが物語コーポレーションだ。年齢も役職も関係ない。全員が意見を述べ、会社を動かす。14期連続増収増益を続ける成長の原動力は、その寄ってたかって、みんなで考える文化にある。どうしたら議論文化が醸成されるのか。もの言う社員の育て方を紹介する。

物語コーポレーションのすべての会議室には「明言のすすめ」が掲示されている。小林佳雄特別顧問(右)が考えたもので、会議前に参加者全員で唱和する

業績好調の理由

もの言う社員ぞろいだから強い

参入障壁が低く、競争が激しい飲食業界。最大の敵は陳腐化だ。常に新しいものを提供し続けなければ生き残れない。どうしたら成功の確率を高められるか。その鍵となるのが、誰かの顔色をうかがったり、場の空気を読んだりせずに議論する文化だ。
物語コーポレーションの沿革
物語コーポレーションの創業は1949年。特別顧問を務める小林佳雄氏の母きみゑ氏が愛知県豊橋市に開いたおでん屋「酒房源氏」が始まりだ。1969年に法人化(97年から現社名)。90年代からチェーン展開に舵を切り、事業を拡大。開発力と人材力を強みに成長し、2008年にジャスダックに株式を上場。2011年、東証一部に指定替え。テーブルオーダーバイキング形式の焼肉店「焼肉きんぐ」や郊外型ラーメン店「丸源ラーメン」をはじめとする12業態、国内外に515店を展開する。従業員数は約1万2000人
右肩上がりで成長
●物語グループの売上高推移

 物語コーポレーションは国内外で515店を運営する外食チェーンだ。2019年6月期の売上高は589億円で、経常利益は46億円(いずれも連結)。14期連続で増収増益を続けている。グループでは914億円を売り上げる。

 好調の要因は何か。陳腐化を最大の敵と考え、お客に飽きられない店づくりをしているからだ。常に味やメニュー、看板などを見直し、有望な業態があれば積極的に立ち上げる。

 一見、当たり前に思える飽きられないための工夫だが、普通の店にはこれができない。味を見直すには、誰かが「○○店の味が最近落ちている」という指摘をしなければならないが、現実にはなかなか難しい。人間関係にひびが入ることなどを恐れ、つい遠慮してしまう。また上司の側が意見を聞いても検討しないこともある。

 新業態開発にしても同様だ。本当は「この味ではお客が受け入れにくいのでは」と思っていても、社長が「いいね」と言うと、その言葉に賛同してしまう。

 物語コーポレーションがこうならないのは、遠慮せずに言いたいことを言い合う、いや言い合わなければならないルールになっているからだ。