自由に意見を言っていいという権利があるのではなく、意見を言わなければいけない義務がある会社、それが物語コーポレーションだ。年齢も役職も関係ない。全員が意見を述べ、会社を動かす。14期連続増収増益を続ける成長の原動力は、その寄ってたかって、みんなで考える文化にある。どうしたら議論文化が醸成されるのか。もの言う社員の育て方を紹介する。
業績好調の理由
もの言う社員ぞろいだから強い
●物語グループの売上高推移

物語コーポレーションは国内外で515店を運営する外食チェーンだ。2019年6月期の売上高は589億円で、経常利益は46億円(いずれも連結)。14期連続で増収増益を続けている。グループでは914億円を売り上げる。
好調の要因は何か。陳腐化を最大の敵と考え、お客に飽きられない店づくりをしているからだ。常に味やメニュー、看板などを見直し、有望な業態があれば積極的に立ち上げる。
一見、当たり前に思える飽きられないための工夫だが、普通の店にはこれができない。味を見直すには、誰かが「○○店の味が最近落ちている」という指摘をしなければならないが、現実にはなかなか難しい。人間関係にひびが入ることなどを恐れ、つい遠慮してしまう。また上司の側が意見を聞いても検討しないこともある。
新業態開発にしても同様だ。本当は「この味ではお客が受け入れにくいのでは」と思っていても、社長が「いいね」と言うと、その言葉に賛同してしまう。
物語コーポレーションがこうならないのは、遠慮せずに言いたいことを言い合う、いや言い合わなければならないルールになっているからだ。
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