上海亜僑研修でのひとコマ。交流の一環として中国人に日本のカルタ遊びを教えている。5日間の研修が終わる頃には親密な関係になるという
上海亜僑研修でのひとコマ。交流の一環として中国人に日本のカルタ遊びを教えている。5日間の研修が終わる頃には親密な関係になるという

 この研修では中国事業の勉強をしつつ、現地の人と触れ合います。中国・上海に物語(上海)企業管理有限公司というグループ会社があり、社員はみんな中国人です。研修では物語上海の社員と1対1でまず向き合います。

 これがものすごく緊張する。なぜなら日本語を話せない中国人と1時間程度、テーブルを共にしないといけないからです。初対面の人、言葉の通じない人に自分の気持ちをどのように伝えるかに重きを置いています。

 参加者はみんな何とかして相手とコミュニケーションを取ろうと、翻訳アプリを使ってみたり、「ニイハオ」など知っている単語をしゃべってみたり。そのうち不思議と心が通じ合っていくようです。

 あるときものすごく大きな声で話す中国人がいました。でもよく見たら、手が震えている。彼らも勇気を出して、自分の気持ちを伝えている。こうした経験を通じて、ここまで人に興味を持っていなかったなとか、自分のことを話していなかったなといったことに気がつくのです。

 また、距離が縮まることで、それまでできなかった自己開示を自然と始めるようになるなど、帰国する頃には全員が確実に変わっています。

外国籍社員が体現

外国籍のインターナショナル社員も積極的に採用していますね。

 2007年から採用しています。現在12カ国、102人。全社員の1割弱を占めます。彼らは日本人にはない視点や発想を持ち、物怖じせず率直に発言できる。当社に異文化を持ち込み、慎重で消極的な日本のカルチャーを活性化してくれることを期待しています。

 実際、彼らはたくさん質問してきます。「どうしてこれをやるのですか」「これをしたら何があるのですか」と、納得するまで聞いてきます。我々は説明責任を果たさなければいけないので、相当鍛えられます。

 その結果、議論の多様化が進み、会社も成熟するという好循環が生まれています。外国籍の社員は当社にとって欠かせない人材です。

ほかにはどんな取り組みがありますか。

席で注文できる食べ放題業態「焼肉きんぐ」のブランドブック(左)と「物語の開発理論」。図版を多用しながら、分かりやすい言葉で丁寧に説明されている(写真:菊池一郎)
席で注文できる食べ放題業態「焼肉きんぐ」のブランドブック(左)と「物語の開発理論」。図版を多用しながら、分かりやすい言葉で丁寧に説明されている(写真:菊池一郎)

 我々の商売の根本理論をまとめた「物語の開発理論」と、業態ごとの「ブランドブック」を作成し、全社員に配布しています。ブランドブックは店のコンセプトやヒストリーをまとめたものです。これを読んで自分が働く業態について深く理解すれば、よりさまざまなアイデアが浮かんでくると思い、半年以上かけて作りました。

 また、細かいことですが、メールで全社員に発信できるようになっています。言ってみれば、社員全員が参加する大きな会議室のようなもので、私に物申す社員も大勢いますよ。そういう場があることが大切なんだと思います。

堂々と意見発信、反応する文化
全社員にメールが送れる仕組み
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 朝礼もそうです。毎週月曜日、愛知県豊橋市の本社や東京、大阪、中国・上海などの拠点を中継で結んで、1時間みっちりやります。最初の約20分は、僕や執行役員以上の幹部が理念や自分の生き方など自由なテーマで話します。

 その後の「反応タイム」では、社員が意見を言ったり、質問をしたりするのですが、みんな一斉に手を挙げるので、大抵予定通りに終わりません。

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