生産性を上げる緊急提言
新型コロナで経済が揺れる中、「中小企業再編論」が持ち上がってきた。弱い中小企業を救う体力は、もはやこの国には残っていないかもしれない。だが、中小企業はまだまだ生産性を上げられる。2021年は勝負の年だ。
<特集全体の目次>
●「明るい廃業」を訴える、神奈川県湯河原町長の真意
●「三方良し」「祖業売却」の独自M&Aに活路
スワニー・橋爪社長「分業を無くせば最強の事業になる」
上川大雪酒造・塚原敏夫社長「大学構内に酒蔵をつくった理由」
良品計画・金井政明会長「まだ国内には3000店は出せる」
●中小企業ならではの強さを開花させる「仕事改革」とは
同業72社がシェアする、車解体会社の生産性向上システム
「現場監督の仕事はこうだ」という常識を取り払った建設塗装会社
異色の高学歴大工集団「面白い仕事ができるから、人が集まる」
●世界で稼ぐ猛者はここが違う 中小企業改革はドイツに学べ
菅政権は2020年12月初めに閣議決定した追加経済対策で、柱の1つに「ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環」を入れた。対策の事業規模は約73.6兆円で経済構造の転換には、そのうち約7割を振り向けた。
規模が大きい分、中身は幅が広い。コロナ禍に対応した「実質無利子・無担保融資延長」から「中小企業の経営転換・事業再構築支援」「内外企業の協業を図るオープンイノベーションプラットフォームの20年度内運用開始」などだ。
このうち「経営転換・事業再構築支援」は、例えばコロナ禍で売り上げが急減した居酒屋のような店舗が、食品デリバリーに転換するといったものをイメージし、最大1億円も補助するという。いわば、ごく普通の中小企業の業態転換から先端レベルまで「何でも構造改革」のばらまき型である。
お膳立ては整っても、コロナ禍による経済停滞下で生き残っていける強さを持った中小企業に構造改革できるかどうかは、結局は企業次第である。居酒屋が宅配事業に転換する例など既に全国どこにもあるし、それが政府の補助で増えれば、今度は新たな事業領域で激しい競争が起きるだけだ。
重要な考え方は、常識を大胆に捨て、自社独自の強みを手にすることだ。例えば「普通に考えればビジネスにならないような小商圏でも、顧客に繰り返し利用してもらえるような商品、サービスをつくり出すこと」(流通コンサルタントの内藤耕氏)も1つだが、そこでは「思考の幅」が重要になる。
「三方良し」の独自M&A
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