「世界の工場」として知られる中国は、2060年までにカーボンニュートラルを実現するという目標を発表しました。今回は、その大きなチャレンジを好機として捉える、脱炭素の最前線で活躍する中国企業の取り組みについて説明したいと思います。

ゲーム的な面白さを採用

 アリババグループが傘下に置くアント・グループが提供する中国最大の決済プラットフォーム「アリペイ」は16年、アプリ内で植樹ミニプログラム「アント・フォレスト」を始めました。

 ユーザーが日常生活の中で環境に配慮した「低炭素の行動」を取ると、アプリ内でポイント(グリーンエネルギー)が得られる仕組みで、例えば徒歩や公共交通機関で通勤したり、中古品を同アプリでリサイクル販売をしたりすると、グリーンエネルギーがたまっていきます。

 一定以上たまると、アント・フォレストのチャリティーパートナーを通じて、実際の木を中国の干ばつ地域に植樹してもらえます。グリーンエネルギーをためればためるほど、植えられる木のバラエティーやサイズが増えます。友達や恋人同士でグリーンエネルギーを合算させて、大きな木を植えることも可能です。

 ゲームの要素を取り込んだ「ゲーミフィケーション」がユニークなのと、自分の行動で環境に貢献できているという実感を持てることが、多くのユーザーを魅了。20年10月時点で5億5000万人以上がアント・フォレストの活動に参加し、合計2億本以上の木が植えられました。これは、1200万トンにもなる二酸化炭素の削減につながりました。

<span class="fontBold">「アント・フォレスト」のアプリ画面。グリーンエネルギーがたまると、異なる種類の木を植樹してもらえる。さらにアプリ上で、自分の木が成長する様子を衛星画像を通してリアルタイムで確認できる</span>(出所:「アント・フォレスト」公式ムービー)
「アント・フォレスト」のアプリ画面。グリーンエネルギーがたまると、異なる種類の木を植樹してもらえる。さらにアプリ上で、自分の木が成長する様子を衛星画像を通してリアルタイムで確認できる(出所:「アント・フォレスト」公式ムービー)

 この取り組みは、(1)「ユーザーの環境への貢献感」、(2)「アプリの利用頻度」、(3)「ユーザーのエンゲージメントとブランド賛同感」の3つをそれぞれ高めました。まさに〝一石三鳥〟の結果を得たわけです。

 電子機器製造大手のレノボは、技術革新を通じてカーボンニュートラルの目標に貢献しようとしています。具体的には、パソコン製造事業において、独自のLTS(低温によるはんだ付け)工程を採用することで、二酸化炭素排出量を35%削減。21年4月時点で、同技術を使って7500トンの二酸化炭素削減効果を実現しました。

 通信機器大手のファーウェイは、「6R1D」という独自のサステナビリティポリシーを掲げ、環境に優しい包装を目指しています。

 6つの「R」と1つの「D」は、合理的な設計(Right)、消費電力の低減(Reduce)、リターナブル素材(Returnable)、リユース可能な素材(Reuse)、回収可能な素材(Recovery)、リサイクル素材(Recycle)、分解処理性(Degradable)です。

 同社は19年、6R1Dのポリシーを徹底することで、9万m3以上の森林木材利用を節約しました。

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