幸せの連鎖を起こす

 かつて、面接に来た若者に大畑が必ず示していた図がある。

 ① ○→○
 ② ○→×
 ③ ×→○
 ④ ×→×

 矢印の前がこれまでの人生で、矢印の後がこれからの人生。「申し訳ないが、これまでのおまえの人生は×だよ。勉強もろくにしていないし、能力もないからね。さて、これからはどうなりたい? ×か、それとも○か」。そう聞くと、ほとんどの若者が「○」と答えた。「もっといい人生を送りたいか。その気持ちさえあれば十分だ。おれと一緒に頑張ろう」

 大畑の愛情をたっぷりため込んだ従業員は150人にまで増えた。2011年にはその中の一人に社長を譲り、自身は近々、グループ会社を束ねる持ち株会社の社長に就く。

 大畑には果たしたい夢がある。

 「従業員が10人なら、その10人に本当の生き方や考え方、格好よく言えば哲学を教えたい。そして従業員が『そうか、こういう考え方があるのか』と気づき、その後の人生を正直な心で生きることができたら、経営者冥利に尽きます。従業員を幸せにできるのは、経営者しかいません。だから、経営者になり得る人材をたくさん育て、どんどん子会社を任せていきたい。私のような者でも売上高10億円のダックスをつくれたのですから、頑張って100億円の会社をつくる従業員が出てくるかもしれない。経営者として、多くの経営者を創り、幸せの連鎖を起こすことが私の使命だと思うのです」

 稲盛和夫氏を師と仰ぐ経営者たちは、どのように稲盛氏の教えを学び、実践してきたのか。「経営者とはどんな人間であるべきか」という根源的な問いへの答えが、稲盛氏と、その門下生たちの言葉から見えてくる。

 稲盛氏の「究極のリーダーシップ論」を実例とともに解き明かした1冊が、お求めやすい文庫『経営者とは 稲盛和夫とその門下生たち』(日経トップリーダー編、日経ビジネス人文庫)になって新登場。

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