岐阜県で粉末茶などの製造を手がけてきたマン・ネン。過去に一度、和議を乗り越えて復活を果たした過去を持つが、主要販売先だった観光地がコロナ禍の影響を受け、売り上げが急減した。

観光地を中心に販路広げた
<span class="fontSizeL">観光地を中心に販路広げた</span>
マン・ネンの看板商品の椎茸茶

 9月29日、椎茸茶や梅昆布茶などの加工茶を製造するマン・ネン(岐阜県本巣市)は、岐阜地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、即日で保全命令が出された。負債額は約12億円。

 マン・ネンの看板商品は椎茸茶などの加工茶と呼ばれるジャンルの製品だ。ほかにも、ふりかけなどを製造する。近年も、金箔入りのお茶など一風変わった商品を売り出して全国紙で紹介されるなど、一定の商品力を持っていた。

 マン・ネンの破綻は取引先にも想定外で、長年取引をしてきたある債権者は、破綻する数日前に「支払いができない」と伝えられた。

 マン・ネンの創業は1953年。当初は大手乳飲料メーカーの協力工場としてスタートし、事業を拡大させてきた。

 大きな転換点は77年。現在の主力事業である椎茸茶などを製造する会社を買収し、社名をマン・ネンに変更。現在の主力事業である加工茶の製造に参入した。

乳飲料から加工茶へ業態転換
マン・ネンの沿革
<span class="fontSizeL">乳飲料から加工茶へ業態転換</span><br />マン・ネンの沿革
出所:関係資料や取材を基に作成

 その直後の80年には、乳飲料製造事業の行き詰まりなどから和議(民事再生法施行以前の法的手続き)を申請している。マン・ネンにとって1度目の破綻だ。

 しかし、わずか数年で和議に伴う負債の返済を終えるなど、業績を急回復させる。その後は、日本全国に取引先を広げて事業を成長させた。87年には現在の社屋を新築して移転。業績のピークとなる97年6月期には、売上高21億2500万円を計上している。

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