業務用ミラーでトップシェアを持ち、航空機メーカーにも納める。他社と競わず、ものづくりの過程を考え抜くのが企業風土。全社員が目的と価値観を共有し、毎日学ぶための共通時間を設けている。

1940年長野県生まれ。68年にコミー工芸(現コミー)を設立、73年に株式会社化。自ら作成した回転ミラーが好評を得たことで、看板作成業から業務用ミラーの製造へ。衝突防止用、防犯用など多くのミラー商品を開発、高いシェアを持つ。売上高は約7億3000万円、社員22人(写真=都築雅人)
コミーのミラーは店舗や駅、エレベーターなどあちこちで目にします。新型コロナ下で新しい大型商品が誕生したそうですね。
小宮山:平面で視界が広い当社の「FFミラー」は衝突防止用に広く使われています。でも、これまで全然使われていないところがありました。駅やデパート、オフィスなどのトイレ付近です。

トイレへの通路は奥が見えないように折れ曲がっているので出入りする人同士がぶつかりやすいですが、そこに鏡を付けるという発想がこれまでなかった。なぜかと聞いたら、トイレの中が見られたくないという理由です。
そこで、FFミラーの表面を加工してぼかしてみたら、それが非常にいい。人がいることが分かるので、駆け込んでくる人がいてもぶつからずに済む。今年の春から販売を始めましたが、鉄道会社をはじめとして評判が良く、かなりのニーズがあるとみています。
よく見えるだけではなく、見えにくいミラーにも大きな需要があったのは意外ですね。
小宮山:これもユーザーの現場の声を聞いて開発したものです。人の気配を感じられるから「気配(けはい)」という名前にしています。
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