10年で業態を変え、「より倒れにくい会社」に

 1974年、神奈川県平塚市の団地で、46歳の男が階下の部屋に住む母娘3人を刺殺する事件が起きた。ピアノの音がうるさいという理由で起きたこの事件は、集合住宅での騒音公害が注目される契機になった。

 石造りの広い空間で音を響かせるように西洋でつくられたピアノを、日本の集合住宅の狭い部屋で弾けば必ず音は漏れる。だから音を出す側に節度が求められなければいけない。当時、住宅のつくり手のほとんどがこう考えていた。

 人々の暮らしに深く関わる社会課題は、時代とともに次々現れる。90年代、都市部で核家族世帯が大半になる中、育児中の若い母親の孤立が表面化した。地域のつながりが少ない母親が初めての公園で子連れのコミュニティーを前に立ちすくむ様子が「公園デビュー」という言葉を生んだ。

住民コミュニティーを支援

 「社会課題を住宅という手段によって解決する」というリブランの理念は、創業者で先代社長の鈴木靜雄氏(現相談役)の代に確立した。

 例えば音の問題。建築技術上、建物というハードが完璧に音漏れを防ぐことはできない。だがそれを補えるのは住民同士の関係性だ。かわいい盛りの元気な3歳児や、中学受験を控えた子がいるなど、近所の家庭の顔や家族構成が大体分かっていれば自然と互いに配慮が生まれ、問題が解決に向かうことが多い。

 そこで靜雄氏は、マンションの竣工後に入居者のパーティーを必ず開催した。酒を出し、ゲームをして互いの名前を覚え、仲良くなるきっかけづくりをしたのだ。

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