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中堅・中小企業経営者が今読むべき新刊書籍4冊を紹介する。今月は作業服大手、ワークマン専務の土屋哲雄著『ワークマン式「しない経営」』のほか3冊を取り上げる。

『ワークマン式「しない経営」』
著者:土屋哲雄
出版社:ダイヤモンド社
価格:1760円(税込み)

 コロナ禍でも10期連続最高益を更新中と絶好調の作業服大手、ワークマン。店舗数は885店(2020年9月末現在)と、国内店舗数ではユニクロを抜いている。

 この立役者となったのが本書の著者。創業者の甥で、東大卒、三井物産出身の土屋哲雄専務だ。その経営の神髄は、多くの企業がやっていることを「しないこと」にある。

 例えば、快進撃のきっかけとなった、2018年に立ち上げた新業態「ワークマンプラス」では、新しい業態と言いながら、この店のための製品開発は一切していない。

「ワークマン」で販売していた1700アイテムの中から、一般客にも売れていた派手めの作業服320アイテムを切り出し、見せ方を変えて販売しただけだ。

 にもかかわらず、店は大盛況。既存店平均の2倍もの売り上げを記録したばかりか、ワークマン全体の売り上げも大きく押し上げた。

 他社がどうであろうと必要がないことはやらない、という方針は事業戦略にとどまらない。

 同社では、値引きも、対面販売もしない。なぜならエブリデー・ロー・プライスが基本で、特に「ワークマン」の場合、来店客は常連が中心かつ目的買いがほとんど。お客は店のどこに何が置いてあるかまで熟知しているので、むしろ接客は不要なのだ。また「社員のやる気をそぐ」という理由で、仕事の期限やノルマ、短期目標も設定していない。

 余計なことをやめれば、社員は本来やるべき仕事に集中でき、収益力も高まる。一段の効率化が要求される先の見えない時代の経営モデルを考える上で、参考になる1冊だ。