『嫌われる勇気』の著者で、哲学者の岸見一郎氏がリーダーのあり方を説く連載の第46回。自分よりも優秀な部下に嫉妬する人がいます。どう考えたら、優秀な部下に嫉妬しないですむのでしょうか。

 自分よりも優秀な部下に嫉妬する人がいます。

 哲学者の三木清は、嫉妬について次のようにいっています。

「嫉妬は自分よりも高い地位にある者、自分よりも幸福な状態にある者に対して起る。だがその差異が絶対的でなく、自分も彼のようになり得ると考えられることが必要である。全く異質的でなく、共通なものがなければならぬ」(『人生論ノート』)

 部下は自分よりも高い地位にあるわけではありませんが、嫉妬するということは、彼〔女〕を自分よりも上にあって優れていると認めているということです。

 ただし、プライドがあるので、部下が自分よりも「絶対的に」優れているとは認めたくありません。「私も頑張れば必ず勝てる」と考えます。しかし、勝つための努力はしません。

 三木はこういっています。

「しかも嫉妬は、嫉妬される者の位置に自分を高めようとすることなく、むしろ彼を自分の位置に低めようとするのが普通である」(前掲書)

 自分を高める努力をしないのは、結果を出せないことを恐れるからです。「私も頑張れば必ず勝てる」と可能性の中に生きている限り、自分が有能ではないという現実に直面することを回避できるのです。

 部下と競う必要はまったくありません。どう考えたら、優秀な部下に嫉妬しないですむのか考えなければなりません。

 部下は最初から優秀であるわけではありません。もしも部下の力が伸びないとしたら、その責任はリーダーにあります。

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