これまでに何度も「会議不要論」が巻き起こった。それでも、会議を全く開かないという会社は少ないだろう。コロナ下で、大人数が対面で集まることが難しくなった今だからこそ、会議をどんな場にしたいか、再考すべきタイミングだ。
 メガネスーパーでは、毎月2回「アクション会議」を開催。会社のあらゆることを、参加者全員で即断即決していく。スピード感が保てる上、全員に当事者意識が生まれるのがメリットだ。会議を、単に数字を報告するだけ、情報を共有するだけの場ではなく、戦略を会社の隅々まで浸透させ、最後までやり切るための会社の動力として最大限に活用する。
 実際の会議ではどんなふうに話が進んでいくのか。まずは、アクション会議の実況中継から始めよう。

会議実況中継「失敗体験を並べないで」

 2021年2月、メガネスーパー本社で実施されたアクション会議の一部を紹介する。
 オンラインを含め、毎回300人ほどが出席。社員なら誰でも出席できるが、「議論にきちんと参加できる人のみ」という不文律がある。会議は、審議案件を持っている部門が事前に議案を提出し、当日発表。1つの議案につき、30分くらい話し合う。タイムスケジュールは作成するが、議論が長引けば、時間割を変更してでも、徹底的に議論する。

【議案 出店の進捗】
進行役:出店各案件の進捗を確認します。

営業担当の社員A:ショッピングモールAの、眼科が隣接したコンタクトレンズ専門店の案件です。営業部内で試算をした結果、投資回収に5年ぐらいかかってしまうので、採算合わずということで見送りを希望します。

 実際、この規模のコンタクト専門店だと、競合店Aでは1500万円から2000万円ぐらい売っていると思います。その売り上げを取るために、本部に「人をください」「ノウハウを一緒に考えてください」という案件なのかもしれません。

 本音を言えば、メガネスーパーの知名度を上げるために、個人的には店を出したい。ただ、同じ地域のほかの館でチャレンジしましたが、今のところうまくいっていません。メガネスーパーの知名度の低いこのエリアで眼科付きの出店は、リスクが大きい。今は既存店に、人の配置も労力も費やすときではないかという判断です。

 もう1つの理由は、ショッピングモールAは、駅から徒歩15分から20分ぐらいの立地にあり、交通の便がそこまでよくないので、ショッピングモール自体の売り上げが伸びないのではと考えています。数値的根拠もなく、あくまで予測ですが。

星﨑尚彦社長:今説明してもらった中で、いくつか見送りの理由がありましたが、経営判断に関係するのは最後の館の集客パワーの話だけで、あとはここで話す意味がありません。過去の失敗体験をタラタラ並べて「やらない」と言うのは、あなたたちの能力が低いという話になりますよね。

 だったら、コンタクトチームが独自にやればいいだけですよ。「今まで失敗してきたから」とか、「新しいプロジェクトを手がけて失敗したから」とよく言えるなと思います。

 ただ、論点として、ここのロケーションがよくないとか、以前、別のショッピングモールが失敗したように、ショッピングモールAもこけるのではないかということに関しては、あなたたちが最も知見があるのかもしれないので、そこは議論すべきだと思います。そこをもう少し細かく追っていただきたい。ただ、やる気がないなら、コンタクトチーム単独で検証していただくのもいいと思います。

 もう少し言わせてもらうと、競合店Aにできて、僕らにできない理由は何ですか。知名度ですか、ノウハウですか。

営業担当の社員A:両方です。