東京と神奈川で自販機の設置やメンテナンスの請負を主力としてきた。新たな柱を育てるべく、海外進出、別事業への進出を繰り返した。しかし、いずれも成果を出せないまま、運転資金が底を突いた。

横浜市にあるエル・シーアプライアンス本社
横浜市にあるエル・シーアプライアンス本社

 世界有数の設置台数を誇る日本の自動販売機。しかし、コンビニエンスストアの増加などの影響により、設置台数は減少の一途をたどっている。

 飲料やたばこの自販機の設置やメンテナンスを主力としてきたエル・シーアプライアンス(横浜市、以下エル・シー)は9月23日、東京地方裁判所に破産を申し立て、即日で開始決定を受けた。負債総額は約10億1900万円。直近期の売上高7億2000万円を上回る額だった。

 今年6月には、エル・シーの信用不安情報が流れた。取引先への支払い遅延を起こしたという内容だ。信用調査会社が確認を取った際には菊地康則社長自らが対応し、「大口取引先1社への遅延があったのは事実だが、それも先方に説明し納得していただいた。ほかの企業への遅延はない」と説明。決算書も開示した。しかし、この決算書は破産後に明らかになったものと数字が異なっており、粉飾されていた。

 急に信用不安が持ち上がったかたちのエル・シーだったが、実は数年前から大きな赤字に苦しんでいた。今年前半には、「一部従業員への給料の遅配なども発生していた」とある社員は語る。

大手との取引で成長

主力事業の落ち込みを補えなかった
●エル・シーアプライアンスの沿革
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出所:関係資料や取材を基に作成
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 エル・シーの設立は1972年。大手飲料メーカーや日本専売公社(現・日本たばこ産業)の自販機を設置したり、修理したりする仕事を始めた。自販機メーカーから仕入れた製品を塗装して飲料などのメーカーごとの外観に仕上げ、設置場所まで運搬する。定期的なメンテンナンスや修理も受け持つ。

 エル・シーは自販機を分解して再生する工場を自前で持っていた。塗装・設置・修理までワンストップでできる会社は少ないため、エル・シーは取引先から重宝されて成長。2005年9月期の売上高は14億1000万円(帝国データバンク調べ)に達していた。

 前社長である長田昭良氏が、自販機の設置や整備をする企業の業界団体、日本自動販売機保安整備協会の会長を務めるなど、業界でも知られた会社だった。

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