(写真:鈴木愛子)
(写真:鈴木愛子)

Q. 新型コロナウイルスのワクチンの原料の1つ「シュードウリジン」をいかに量産化し、迅速に供給したか。

A.将来の需要増を見込み、5年ほど前から準備した

 ヤマサ醤油はファイザーとモデルナの両社に、新型コロナウイルスのワクチンの原料の1つである「シュードウリジン」を供給しています。370年以上にわたり醤油を作り続けてきた企業が、ワクチンの原料を製造していることが意外だったらしく、多くの反響がありました。

70年代に医薬業に参入

<span class="fontBold">濱口 道雄(はまぐち・みちお)</span><br />1943年東京都生まれ。66年慶応義塾大学卒業。東邦生命保険を経て、68年ヤマサ醤油入社。73年取締役、83年社長に就任。2017年から現職。07年から19年まで日本醤油協会会長を務めた
濱口 道雄(はまぐち・みちお)
1943年東京都生まれ。66年慶応義塾大学卒業。東邦生命保険を経て、68年ヤマサ醤油入社。73年取締役、83年社長に就任。2017年から現職。07年から19年まで日本醤油協会会長を務めた

 当社では1970年代から医薬・化成品事業に取り組んでいます。きっかけは50年代後半、うま味調味料事業を始めたことです。醤油製造は伝統産業で安定したビジネスではあるものの、成長性には劣る。だからこそ新しい事業が待望されていたのです。

 元常務の故・國中明という先輩が55年に、かつお節のうま味成分がイノシン酸であること、続いて57年にイノシン酸を作る微生物酵素を発見しました。これらの発見により最終的にイノシン酸の工業的生産にこぎつけ、複合うま味調味料の発売へつながったのです。

 うま味調味料の生産の際、イノシン酸だけではなく、調味料としては役に立たないウリジル酸やシチジル酸も抽出されます。核酸を分解してイノシン酸を取り出すプロセスには手間がかかり、調味料として販売するだけではコスト的に難しい。

<span class="fontBold">「ヤマサしょうゆ」などヤマサ醤油の代表的な商品</span>
「ヤマサしょうゆ」などヤマサ醤油の代表的な商品

 そこで、ウリジル酸やシチジル酸などの副産物を別の用途に使えないかと考えました。研究を続けるうち、医薬品として効果があることが分かり、新事業への道が開けたのです。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1710文字 / 全文2366文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「日経トップリーダー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。