今、藤井聡太二冠(18)の活躍を中心に空前の将棋ブームが到来している。タイトル戦の結果がスポーツ紙の一面を飾り、ワイドショーで棋士が対局中に食べる「将棋めし」が話題になるなど、これまでにない盛り上がりを見せている。そんな将棋をこよなく愛する経営者は少なくない。一体、将棋の何が経営者の心をつかんでいるのか。将棋とビジネスにはどんな共通点があるのか。それらを探っていく。

(写真/PIXTA)
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<全体の目次>
・サイバー藤田晋社長、投了寸前の棋士の「絶望」から学ぶ
・レオス藤野社長、将棋で自分都合の思考習慣から脱却する
・佐藤康光連盟会長・中川アマ名人が語る、将棋と仕事の共通点


INTERVIEW 1
投了寸前の棋士の「絶望」から学ぶ

<span class="fontBold">サイバーエージェント社長<br> AbemaTV社長<br> 	<span class="fontSizeL">藤田晋<br></span></span> ふじた・すすむ<br> 1973年福井県生まれ。97年に青山学院大学経営学部を卒業後、人材紹介・派遣事業のインテリジェンスに入社。98年に退社し、サイバーエージェントを設立。2015年、テレビ朝日と共同出資しAbemaTVを設立、同社の社長に就任
サイバーエージェント社長
AbemaTV社長
藤田晋
ふじた・すすむ
1973年福井県生まれ。97年に青山学院大学経営学部を卒業後、人材紹介・派遣事業のインテリジェンスに入社。98年に退社し、サイバーエージェントを設立。2015年、テレビ朝日と共同出資しAbemaTVを設立、同社の社長に就任

 今の将棋ブームを支えているのはネット配信サービス「ABEMA(アベマ)」の将棋チャンネルと言って間違いない。これまで、藤井聡太二冠のデビュー以来無傷の29連勝、17歳11カ月での史上最年少タイトル獲得など、世の中を熱狂させた数多くの対局を生配信してきた。

 このサービスを提供している企業はAbemaTV(アベマティービー)だ。率いるのはサイバーエージェントの社長でもある藤田晋氏。まずは将棋ブームの立役者の1人である藤田社長に、ブームの背景や将棋とビジネスの共通点などを聞いた。

今の将棋ブームを藤田社長はどう見ていますか?

藤田:すごいですよね。完全に世の中を巻き込んだブームになっています。藤井二冠の特集は、ワイドショーやニュース番組で多数取り上げられていますが、視聴率がいいのでしょう、どの局もかなりの尺を取って紹介している。やはり魅力的な若いスターの登場は、世の中の関心を集めますね。

若いスターが出てきても、そのスターを見る機会が少なければブームになりません。その意味でABEMA将棋チャンネルの貢献は大きいと考えています。

藤田:将棋の対局は食事休憩を含め、長いもので1局12時間以上に及ぶことがあります。朝の10時に対局を開始し、夜中までやっていたりする。時には日付をまたぐこともある。このため、普通のテレビ局ではそもそも、尺の関係で放送することが難しい。

 けれどもネット放送であれば、長時間に及ぶ対局も最初から最後まで生配信できます。先駆者はニコニコ生放送ですが、ABEMAも2017年から将棋チャンネルで公式戦の生配信を始めました。反響はとても大きかったですね。私も親から珍しく感謝されました。「名人戦が全部見られるなんて夢みたいだ」と(笑)。

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