新型コロナウイルスが日本経済に暗い影を落とす中、M&A(合併・買収)市場が活気づいている。
 アフターコロナを見据える積極的な経営者、体力が弱まる中小企業の活性化を促す国。この両輪に火をつけられたM&A市場が膨張し始めた。

 注目すべきは、売り手と買い手を結ぶM&Aマッチングプラットフォームの台頭だ。1億円未満の小さな案件をスピーディーに成立させることができるようになり、すべての中小企業がM&Aを現実的な選択肢にできる舞台が整った。
 始まったばかりの「スモールM&A」時代で失敗しない秘訣を探る。


(写真/PIXTA)

<特集全体の目次>
・会社を数百万円で売買!? 中小企業に押し寄せるM&Aの波
・M&Aを支援するプロが証言「こんな社長は買収後に失敗する」
・「スモールM&Aをなぜ成功できたのか」買収した社長が激白
・中小企業M&Aのプロが問う「苦労を買うという覚悟はあるか」

失敗・成功の境目(3)
M&Aを成功させる戦略と人材育成

 

まず、前回に続き、M&Aで会社を買収した当事者である社長に、当時の経緯を振り返ってもらう。そして後半は特集全体のまとめとして、中小企業のM&Aを約30年見てきたバトンズの大山敬義社長兼CEOに、中小企業経営者がM&Aに取り組む姿勢について語ってもらった。

広島の工事会社が東京にある同業を買収
経営者が率先して新規開拓 送り込む右腕を事前に育成
 

 ここで紹介するのは、自身が経営する会社から遠く離れた場所で事業を展開する同業を買収したケースだ。

 2つの会社の営業エリアが離れていると相乗効果を出しにくく、経営者の目もあまり行き届かない。一見、失敗に至る典型例に思えるが、実際は、買収した会社の売上高が約2倍に伸びた。

 水工房リアル(広島県三原市)は、給水装置や下水道排水設備の工事を手がける会社だ。松原祐司社長が設立した。

 設立した2012年当時は、民間の顧客が大半だったが、現在は逆転して公共工事がメインに。水道管の埋設や小中学校の水道設備の工事などで全体の9割を稼ぐ。

続きを読む 2/3 目的は成功パターン再現

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