新型コロナウイルスが日本経済に暗い影を落とす中、M&A(合併・買収)市場が活気づいている。
 アフターコロナを見据える積極的な経営者、体力が弱まる中小企業の活性化を促す国。この両輪に火をつけられたM&A市場が膨張し始めた。

 注目すべきは、売り手と買い手を結ぶM&Aマッチングプラットフォームの台頭だ。1億円未満の小さな案件をスピーディーに成立させることができるようになり、すべての中小企業がM&Aを現実的な選択肢にできる舞台が整った。
 始まったばかりの「スモールM&A」時代で失敗しない秘訣を探る。


(写真/PIXTA)

<特集全体の目次>
・会社を数百万円で売買!? 中小企業に押し寄せるM&Aの波
・M&Aを支援するプロが証言「こんな社長は買収後に失敗する」
・「スモールM&Aをなぜ成功できたのか」買収した社長が激白
・中小企業M&Aのプロが問う「苦労を買うという覚悟はあるか」



失敗・成功の境目(2)
「なぜ成功できたのか?」当事者の社長が理由を激白

 

M&Aで会社を買収した当事者は失敗と成功の線引きをどう考えているのか。当時を振り返ってもらいながら、話を聞いた。

総合物流会社が万年赤字の同業を立て直し
回収期間を決めて緊張感 キーマンに権限を委譲
 

 M&Aの成功確率は、数字に基づいた戦略策定で高められる。それを象徴するのが今回のケースだ。長年、赤字続きの会社を買収し、その投資を見込み通りの期間で回収。

 さらに社長の交代によって従業員や顧客が離れてしまうリスクを入念な準備で回避し、M&Aの成功をより確実なものにした。

 売上高2億円弱で10年連続の赤字。輸送業を営む京南運送(東京・品川)は2018年当時、業績低迷に苦しんでいた。この会社を買収したのがトラック輸送など複数の事業を展開するカーレントサービス(東京・大田)の保坂高広社長だ。1500万円の買収コストは、わずか2年で回収した。

 赤字体質の会社でありながら、保坂社長が買収に勝算ありと踏んだのは、黒字化できる確信があったからだ。財務を見れば確かに良くなかったが、「問題はどこにあるのか。自分はそれを改善できるか。検討を重ねた結果、悪いポイントは1つだけで、そこを直せば状況を変えられる自信があった」(保坂社長)という。

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