茨城県古河市で地域密着のレストランを多店舗経営する。人が定着せず労務倒産寸前を経験、理念経営に力を注いだ。コロナ禍で宴会需要が激減。高級弁当や通販など新規分野で活路を開く。

古河市内に和食レストランを展開、地域密着の人気店として成長しています。地域への出店を重ねる理由は何ですか。
中村:現在、旗艦店「旬 おかさと」、「おかさと庵」など6店を営業しています。

始まりは、私の両親が経営していた喫茶店です。私は高校卒業後、調理専門学校からベルギー・ブリュッセルの日本料理店、東京・赤坂の日本料理店で働いて25歳で地元に戻り、両親の店を継いで和食レストランを始めました。
その後、縁があって市内に4号店まで出店し、増収増益を続けてきました。
さらに商売を大きくしようと2011年に、より商圏が大きい土浦に大型店を出しましたが、大失敗。ホテルに勤務していた和食の調理スタッフ7人を中途採用したものの、店は大赤字を出して1年弱で閉めました。
その年に亡くなった父が、遺言のように3つのことを言い残しました。「商売は地元でせよ」「業者を地元業者に変えよ」「銀行からあまり借り入れをするな」と。
その言葉に従って翌年はV字回復。ちょうど市内に大型の土地が見つかり、旗艦店の出店を決めました。
古河は工業団地や大手企業の拠点があり、法人需要の多いところです。地域性を当然熟知した上で、女将を中心として人手をかけたきめ細かなサービスを提供できるのがうちの店の強みです。こういうやり方は都内など大商圏ではなく、古河という地域だからうまくいくと考えます。
労務倒産寸前に
人材育成に重点を置いた理念経営を実践しているそうですね。
中村:最初の頃、とにかく人で苦労をしたからです。
私は料理を勉強して経験を積んだものの、マネジメントはできていなかった。開業後、店は繁盛しましたがスタッフが定着せず、2店舗になると人手が足りなくて店が開けられない状態。労務倒産寸前になりました。
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■テーマ:ウクライナ侵攻から1年 エネルギー危機は23年が本番、日本経済「窮乏化」を阻止せよ
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