ハムスター症候群から脱してビジョンの見直しを

そのような踊り場企業に対してどのような手を打てばいいのでしょうか。

石原:経営者に課題が見えていないことが最大の課題なのです。「何を変えたら会社が変わると思いますか」と踊り場企業の社長に聞いても大半が「それが分からない。いろいろと手を打っているのに」と答えます。それは戦略の見直しをせず、小手先の戦術で右往左往している状態なのです。

 一生懸命取り組んでいるのに成果が出てこない。ちょっと例えが悪いですが、回転遊具をグルグル回しているハムスターと一緒で課題が見えないまま走り続けているわけです(ハムスター症候群)。一度、この回転遊具から降りて、会社のビジョン、ありたい姿を見直しませんかとアドバイスしています。10年後に会社がどのようになっていると満足できるのか考えるのです。利益を倍にするでもいいし、こんな顧客と付き合いたいでもいいし、社員の人数と給料を倍に増やしたいということでもかまいません。

 具体的なビジョンが明確になって初めて戦略が生まれます。10年後の姿から現在までを逆算して5年後、3年後、1年後に何をすればいいか決めていきます。逆算することで登るべき階段が見えてくるわけです。

具体的に戦略の設定はどのように考えたらいいのでしょうか。

石原:大きく2つあり、1つ目は「経営資源の配分」であり、2つ目が「差別化」です。経営資源の配分とはヒト、モノ、カネ、情報、時間の最適化です。収益性を縦軸に、成長性を横軸に取って4次元のマトリクスを考えてみましょう。

経営資源の配分に強弱をつけているか
経営資源の配分に強弱をつけているか

 成長性と収益性が低い左下の次元は「撤退」で、例えば店舗の閉店、人員の配置転換、取引の中止などの対策があります。成長性はないが収益性は高いという左上は「効率化」であり、店舗であればベテラン1人とアルバイト1人といったように人員の最適化を図ります。成長性はあるが収益性が低い右下は「投資」すべき対象であり、ヒト・モノ・カネを集中させるべきでしょう。最後に成長性も収益性も高い右上は「強化」で、エース級の人材を投入するなどして、一層、収益力のアップを図ります。

 踊り場企業の経営ではこの4次元を考えずに同じように配分しているから収益性が低くなるのです。再配置すると従業員にとっては偏った人事と見え、反発もあるかもしれませんが、経営者は社員にちゃんと説明し、思い切った経営資源の再配分を行う必要があります。

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